家事に時間を奪われず、身軽に心豊かに

 現在は自身の老前整理も9割がた完了。けれども、「なんでも減らせばいいわけではない」、と語る。

「最近は地震も多いので、防災備蓄など必要なものはしっかり備えています。非常食は食品ロスを防ぐために、食べなれた食品をローリングストックして使い切っています」

 また、夫や子どもの領域には干渉せず、手をつけるのは共用スペースに限定している。

 シンプルライフを続けて10余年、家事の手間が以前より減っただけでなく、推し活や趣味の読書など、好きなことに多くの時間やお金を費やすことができるようになったという。

「60代になってからは投資も開始。毎朝、YouTubeの投資のチャンネルで勉強をするのも日課です」

 仕事もまだ続けており、毎月、手取り額の約20%を貯蓄として投資に回している。さらに、無料の音声配信サービス「Voicy」を使っての英会話の勉強も、日課のひとつ。

「子どものころから船で世界一周旅行をするのが夢で。そのときに備えています」

 その夢の実現は2年後を目指して計画中だ。

「楽しみがあるから、家事もがんばれます。私は旅行や、家族との外食など“体験”にはお金を惜しまないタイプですが、被服費にはかけなくて平気。

 また、細かな節約は性格的に苦手なので、携帯電話やガス、電気代などを見直して固定費を節約しています。自分にとって価値あることにお金をかけたいから、お金の使い方にはメリハリをつけています」

 60歳を過ぎてからは、人生の残りの時間を意識するようになった。

「夢は人生の原動力になります。何かに夢中になっているときがいちばん楽しい。だから、やりたいことに出合えたら、頭で考える前にまず、手足を動かしてみるようにしています。私の人生にとって、『自分の心が動く体験』は、とても大事なんです。

 そのためにも健康で、できるだけ暮らしを身軽にして、人生を愉(たの)しみたいと思っています」