以前は食費の4割がお菓子に消えていた

 とはいえ、節約生活への移行でつらかったこともあった。それは“お菓子断ち”。

「スイーツはもちろん、ポテトチップスなどのスナック菓子が好きで、小腹がすいたときにつまむのが習慣になっていました。今振り返ると、ほとんど中毒だったと感じます。お菓子を食べるとお腹が満たされてしまい、食事があまり食べられないという悪循環。体調を崩しやすい原因にもなっていたと思います」

 1回の買い物で、菓子代に500円程度かけるのが常態化。ジャンクフードも好きで、合わせて食費の4割を占める月もあったと振り返る。それを一気にゼロにした。

節約生活を始めた当初は、気づいたら食べたい衝動に駆られました。でも、“やめないと私の生活は崖から落ちる”と言い聞かせ、買わないことを自分に課しました」

 するとだんだん体調がよくなることを実感。間食のせいで食事を抜くこともなくなり、美味しくごはんが食べられるようになった。

今では、むしろ“食べたくない”と感じるほどに変わりました。スナック菓子だけでなく、レトルト食品も避けるようになっています。

 100円程度のレトルトカレーやお菓子は、高価な買い物ではありませんが、積もり積もって食費を圧迫しますし、そのお金で旬の野菜を買ったほうが美味しくて身体にいいと、自然に思えるようになりました」

レシートをチェックし、買い物のクセを知ることで無駄を省いている ※写真はイメージです
レシートをチェックし、買い物のクセを知ることで無駄を省いている ※写真はイメージです
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 コロナ禍で意図せず変化した食生活。そこから約4年。節約生活の基盤を維持するだけでなく、試行錯誤しアップデートし続けている。

「安くて高栄養の鶏むね肉ですが、それだけに固定してしまうと飽きるので鶏手羽元を買うことも増えました。きのこ類も以前は干してから冷凍保存をしていましたが、最近はそのまま冷凍に。より気軽に今の食生活が維持できるように変化させています」

 塩麹や甘酒の手作りもしていたが、今はお休み中。節約のために始めたことでも“これでなくてはダメ”“続けることが正義”と決めつけず、その都度、今の生活に合っているか考えて変えることが、長く楽しく続ける秘訣だ。

 新たに始めたこともある。凝っているのは自家製調味料作り。にんにくオイルやはちみつしょうが、玉ねぎ麹といった料理の幅を広げてくれる調味料を手作りする。

「日々の食卓がマンネリ化せず、自分が食べたいなと思える料理作りに一役買ってくれています」

 そんな心豊かなプチプラの食生活を継続する紫苑さんが、物価高騰の今こそ心がけていることとは。年金暮らしでも満足できる食卓のコツを教えてもらった。