目次
Page 1
ー 「手術件数が多い=腕がいい」とは限らない
Page 2
ー セカンドオピニオンをためらわずに求める
Page 3
ー 「がんと診断されたすぐあとがベストタイミング」

 

がんの可能性が高い、またはがんと診断されたとき、望む治療や療養に合う病院を探すことは納得のいく治療を受けるためのカギ。告知直後には患者本人も家族も混乱してしまうものだが、時間は待ってはくれない。現役医師が語る失敗しない選択基準とは?

 「大事なのは、まず病状をきちんと把握すること、そして標準治療をしっかり受けることです」

 と言うのは、日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授の勝俣範之先生。国内における臨床試験と抗がん剤治療のパイオニアの一人である。

「手術件数が多い=腕がいい」とは限らない

 がんの標準治療とは、「手術」「放射線治療」「薬物療法(化学療法、分子標的薬、免疫療法、ホルモン療法)」の基本3つで、しっかりとした科学的根拠(エビデンス)に基づいた、最も効果が期待できる世界標準の治療法。標準治療なら健康保険が適用になり、高額になりがちながんの医療費も多くがカバーされるのも利点。対して代替療法は自由診療で保険が利かず、金銭面の負担も大きい。

 標準治療を受ける上で、病院選びも重要だ。

「ここでありがちなのが、名医に手術してほしいといって、手術実績でランキングの高い医師や話題の病院に駆けつけるパターン」と勝俣先生。しかし、せっかくなら少しでも腕のいい医師に診てもらいたい、と思うのが人情だが……。

がんに関しては手術件数と生存率が相関するというデータはありません。なので手術件数が多い=腕がいい、とは限らない。個人的には、根拠のあやふやなランキング本などを当てにするのはやめたほうがいいと思います。

 がんに関しては手術の腕というより、がんのステージや病状が予後を大きく左右する。だから腕のいい医師を探すより、標準治療をしっかり行っている病院にかかることが重要です」(勝俣先生、以下同)

 病院選びの一つの目安になるのが「がん診療連携拠点病院」。全国どこに住んでいても質の高いがん治療が受けられることを目的に国により都道府県ごとに指定された病院で、現在は都道府県がん診療連携拠点病院が51か所、地域がん診療連携拠点病院が357か所、特定領域がん診療連携拠点病院が1か所、地域がん診療病院が47か所の全国計456か所が該当する。