「セカンドオピニオンを受けたら、その診断内容を主治医に伝え、改めて治療方針を決定します。それでも主治医の方針に納得できなければ、転院を検討してもいいでしょう。ただ、がんの治療には時間との勝負という側面もあります。むやみに多くのセカンドオピニオンを受けたり、病院を探し回ることは避けたいところです」

「がんと診断されたすぐあとがベストタイミング」

 加えて、気をつけたいのが、セカンドオピニオンを受けるタイミングだ。

「セカンドオピニオンを求めるなら、確定診断を受けたすぐあとがタイミングとしてベターとされています。けれどそのタイミングでセカンドオピニオンを受ける人は1割くらい。たいていがんが再発したあとや治療が行き詰まってからセカンドオピニオンを求めることになる。でも治療で一番大事なのは、確定診断を含めた最初の治療の段階です」

 まだまだ誤解の多いがん治療。いざというときに備え、正しい知識を身につけて。

がんは決して珍しい病気ではないはずなのに、きちんと知られていない。がんはいまだに死に直結するイメージがあり、本当のことを知るのが怖い、という気持ちがあるようです。ただ正しいことを知ることで、安心にもつながる。ご自身や大切な家族のためにも、がんについて正しく知り、適切な治療を受けてもらえたらと思います」

こんなとき、どうしたらいい?

病院選びで迷ったら…

→都道府県ごとにあるがん診療連携拠点病院
→できれば腫瘍内科医がいる病院を選ぶ
→今後の治療も考えて通いやすさも考慮

診断や治療方針で別の医師に聞きたいときは…

→まずはファーストオピニオンをしっかり聞く
→セカンドオピニオンを求めることをためらわない
→セカンドオピニオンは確定診断の直後に

医師以外にがんについて相談したいときは…

がん診療連携拠点病院などに設置されているがん相談支援センターへ
がんの体験者に相談できるピアサポートを活用

勝俣範之先生●日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授、部長、外来化学療法室室長。国立がんセンター医長を経て、2011年より現職。あらゆる部位のがんを診られる「腫瘍内科」の立ち上げは、当時の日本では画期的であった。国内における臨床試験と抗がん剤治療のパイオニアの一人。

勝俣範之先生著『あなたと家族を守る がんと診断されたら最初に読む本』(KADOKAWA) ※記事の中の写真をクリックするとAmazonの購入ページにジャンプします
【写真】年齢層別のがん罹患率のグラフ

取材・文/小野寺悦子