中年期を過ぎると、身体の衰えに伴い、「老い」を実感する場面が増えていくもの。
「加齢とともに同じ年齢でも老ける度合いが変わってきます。その度合いは、食事や食習慣と深い関係があります。毎日・毎食、どういう食事をするかによって、決定づけられるのです」 と話すのは、管理栄養士の森由香子さん。例えば、ビタミンCは抗酸化物質で活性酸素を消去する能力もある栄養素のひとつ。
「活性酸素は血管を硬くして動脈硬化を引き起こしたり、シワやシミの原因になったりと、エイジング(老い)を加速させます。抗酸化作用を持つビタミンCは老化防止に役立っていますが、体内でつくることはできません。
また、お酒をたくさん飲む人ほどビタミンCが多く消費され、不足しやすいものでもあります。普段の食事からしっかり補給できているかが大切です」(森さん、以下同)
タンパク質など食べ方の間違い
ビタミンC以外にも、食事からしか得られない栄養素は多い。老けるかどうかは普段の食事で大きく差がつくということだ。 ちなみに、酒は百薬の長といわれてきたが、最新の研究により少量でも各種疾患の発症リスクが上昇し得ると示されている。飲酒量は健康に配慮して、飲み方を考慮したい。
森さんは普段の食事で、食べ方も大切だという。例えば、タンパク質は筋肉、皮膚、髪、歯など、身体の組織を合成させる役割を担い、積極的に摂取したい栄養素だが、注意したい点がある。
「近年、タンパク質ブームが起き、肉や魚、卵、大豆などのタンパク質ばかり食べて、ご飯などの炭水化物や脂質の摂取を抑える食生活を送る人が増えています。これはすぐに改善すべきですね。
なぜなら、若々しさを保つどころか、逆に“老けた人”になってしまう可能性があるからです。私たちの身体は“エネルギーファースト”でできています。ご飯を抜いたりすると、身体を動かすエネルギー源の糖質が足りなくなります。
その状態で食事からタンパク質をとっても、筋肉や皮膚をはじめとした組織の合成にまわらず、不足したエネルギーを補うために使われてしまうのです。老けないためには、毎食、タンパク質だけでなく、ご飯やパンといった主食と、適度な脂質をとることが大切ですね」