目次
Page 1
ー 釣りが好きすぎるのも依存症かもしれない!?
Page 2
ー 目的が入れ替わってしまったら依存症
Page 3
ー 「明日何をするか」
Page 4
ー 依存症患者への正しい接し方とは

 メンタルについて説明するYouTubeチャンネル「精神科医がこころの病気を解説するCh」が人気を集める「早稲田メンタルクリニック」院長の益田裕介さん。そして、“投薬だけに頼らない精神科医療”をモットーに、これまで数多の依存症患者を回復に導いた「ライフサポートクリニック」院長の山下悠毅さん。

 このたび、おふた方ともに新刊を出されたということで、それを記念した特別対談を開催! メンタルケアのスペシャリストが提言する、心の病との付き合い方、依存症との向き合い方とは──。

釣りが好きすぎるのも依存症かもしれない!?

山下 益田先生がYouTubeを通じて啓発活動をされている影響もあって、「この不調は、心の病や依存症だからなのかもしれない」と考える方は増えていると思います。そうした理解が着実に広がっていることは、専門医としてとてもありがたいことです。益田先生のクリニックにも、依存症患者さんは来られますか?

益田 診察して「依存症かもしれないですね」という方はいますが、僕のところには、重度の方はほとんど来ないですね。診察していて思うのは、合併症ではないケースの依存症の方であれば、回復できるケースが増えているということ。時代が変わったなと感じますね。

山下 僕のところには、本人に自覚がなくても家族が連れてきたり、家族に言われて来院したという方も少なくない。また、薬物依存症の方の中には、裁判を控えているので相談しに来たという方もいる。たしかに多様なケースが増え、依存症の認知度や、取り巻く環境が変わってきているなと思います。

※写真はイメージです
※写真はイメージです

益田 なんでもかんでも依存症にくくるのは言葉の乱用だという解釈をする専門医もいれば、おギャンブルを適切に楽しめていないのだから、それは依存症と呼ぶべきだという専門医もいますね。

 WHO(世界保健機関)では、“ギャンブルが生活の中で最優先となり、仕事や人間関係が悪化してもやめることが困難である状態”をギャンブル依存症と定義している。ギャンブルに限った話ではなく、飲が第一優先になればアルコールに依存している状態に。

 釣りが大好きで家族や仕事を放ってまで釣りを優先してしまうなら、釣りに依存している状態になる。つまり、依存症は誰もがなりえる病気ということ。とはいえ、なりやすい人の傾向はあるのかというと、それも難しいですよね。