目的が入れ替わってしまったら依存症

山下 卵が先かニワトリが先かではないですが、仕事や人間関係のストレスからおギャンブルに依存する人もいれば、おギャンブルに依存した結果、仕事や人間関係が立ち行かなくなる人もいます。気分が落ち込んでいると、何かに依存しやすくなりますし、一方で、依存的な行為をやめると、気分が落ち込む人もいます。

益田 物事に向き合いすぎた反動で病的なところまで落ち込んでしまい、気分の解放を求めた結果、依存物質にハマってしまうこともある。本来であれば、運動などといった建設的な解放が望ましいのですが、手っ取り早い解放を求めておやドラッグ、ギャンブルといった、インスタントな行為に依存してしまう。

益田裕介さん(左)と山下悠毅さん(右) 撮影/矢島泰輔
益田裕介さん(左)と山下悠毅さん(右) 撮影/矢島泰輔
【写真】“依存症”に携わる精神科医の「こころに効く」著書

山下 不安だからおを飲んでいたのに、気がつくとおを飲まないと不安になっている。お金が欲しいからギャンブルをしているはずなのに、ギャンブルをするために金策に走る。目的が入れ替わってしまったら、依存症という病気になっていると自覚してほしい。

益田 アルコールなどは自我を肥大化させていきます。自分の身体と対話をしないまま、根拠のない自信をつけてしまう。ゲーム依存にもいえることですが、できるだけ身体は動かしたほうがいいでしょう。

山下 やはり運動をすると、何かに依存しなくても爽快な気分を手に入れることができるので、大きな効果が期待できますよね。僕のクリニックはジムを併設していて、患者さんに運動を取り入れた回復プログラムを提供しています。