白内障手術で頼れる名医の条件

 それでも手術が必要となれば、誰しもが信頼できる名医にお願いしたいはず。そこで参考にすべきことがある。

「ひとつの指針になるのは、手術件数が多いこと。月間30件ほどだと多いとも言われているので年間300件以上の手術件数があれば良いでしょう。

 ただ300件行う医者と1000件行う医者なら、多いほうが絶対にうまいとも限らないのが難しい。それでも手術件数が極端に少ないと、技術力に不安があります」

 気をつけるべきは、施設ではなく術者を基準にすることだ。

「複数の病院に勤める医師の場合、A施設では60件しかなくても、B施設では1500件実施する場合もあります。

 つまり施設単位の手術数よりも術者の件数が重要です。1施設で医師1人が1000件行う場合と、1施設で医師5人が2000件行う場合などもあるので、1人当たりが担当する手術数で判断してください」

 そして、医師が自分と合うかはとても重要。

白内障手術はほかの病気と違い、手術は成功しているのに、思った見え方と違うということが起こり得るんですね。なぜかというと白内障手術で使う人工レンズにも種類があって、選ぶことができるからです。

 だからこそ技術力だけでなく、事前の相談が非常に重要になってくる。患者の話を聞かず、意見を押しつける医者は良くないですね

 レンズ自体も高ければ良いというものではない。人工レンズは、性能の良しあしで価格差があるとは必ずしもいえないのだとか。

「高いレンズは特殊な加工をしていたり、少量しか流通していないせいで結果的に値段が上がることが多いんですよ。高いレンズばかりすすめるのは利益重視で、患者さんを第一に考えているとは思えません。

 手術で人工レンズを入れたら、基本的にはそれを一生使い続けることになるので、値段にかかわらずそれぞれのメリット、デメリットを相談できると良いでしょう」

 そして地元の評判を聞くことも重要だ。

「技術に問題のある先生は確かに世の中にいますが、たいていは評判が伝わるため、地元の人に評判を聞いてみるのも良いと思います。そうすれば最低限大丈夫かはわかりますよ」

平松 類先生●眼科専門医・医学博士。二本松眼科病院にて副院長を務める。登録者25万人以上を誇るYouTube「眼科医平松類チャンネル」をはじめ、各種メディアにて目の健康情報を提供している。※画像をクリックするとYouTubeにジャンプします

教えてくれたのは……平松 類先生●眼科専門医・医学博士。二本松眼科病院にて副院長を務める。登録者25万人以上を誇るYouTube「眼科医平松類チャンネル」をはじめ、各種メディアにて目の健康情報を提供している。著書に『その白内障手術、待った! ―受ける前に知っておくこと』(時事通信社)ほか多数。

平松先生の著書『その白内障手術、待った!―受ける前に知っておくこと』(時事通信社)※画像をクリックするとAmazonの商品ページにジャンプします。

取材・文/植田沙羅