【誤嚥事故】「ながら食べ」が命の危険に

「弾力のあるものや、かたいものがうまく飲み込めずに、食道ではなく気管へ入り込んでしまうことを誤嚥といいます。65歳以上の誤嚥による窒息での死亡者数は、転倒事故に次いで多い。

 シニア世代で誤嚥による事故が増える原因は、噛む力や気管に入ったものを吐き出す嚥下機能の低下、また、歯の機能の衰えなどが考えられます」

 身体の衰えのほかに、「ながら食べ」も要因となる。

テレビに集中したり、新聞を読みながら食事をすることで、食べ物をよく噛まずに飲み込んでしまうのも、窒息事故の原因に。以前よりも自分の身体は食べ物を飲み込む力が弱くなっていると受け入れて、食事に集中することが大事です

 誤嚥は窒息だけでなく、肺炎の原因になることも。

「肺炎は肺の細胞に炎症が起こる感染症ですが、誤嚥をきっかけに起こる誤嚥性肺炎もあります。食べ物や唾液が気管に入ることで、口の中の細菌が肺にまで入り込んでしまうのが原因です」

 誤嚥を防ぐには、食べることに集中しつつ、急いで食べないことが鉄則。お正月に買ったお餅の残りを消費している家庭では、食べやすいようにひと口大にカットする、冷めた餅はかたくなり詰まりやすくなるので、熱いうちに食べきるなどを意識しよう。