千葉県船橋市では喫煙者の9割が「喫煙所があれば利用」とアンケートで回答

 ここまで各地の喫煙対策の取り組みを見てきたが、喫煙者と非喫煙者の共存を図り、路上喫煙やポイ捨てを防止するうえで、分煙施設の設置はどれほど有効な手段なのか。実証実験を行った千葉県船橋市環境部クリーン推進課のデータを見てみる。

 市議会で「歩きたばこのない町・船橋を目指す決議」を採択している船橋市では、2004年に「船橋市路上喫煙及びポイ捨て防止条例」を改正し、違反者に過料(2000円)を科すなど、喫煙対策に力を入れてきた。そんな船橋市では、清潔、安全及び快適な生活環境の確保に向けた取り組みの強化を図るため、JR船橋駅北口に指定喫煙所を設置し、2021年10月25日から2023年10月31日までの約2年間「路上喫煙」、「ポイ捨て」、「路上喫煙の減少による受動喫煙の防止」を目的に実証実験を行い、JRの船橋駅、西船橋駅、津田沼駅周辺でアンケート調査を実施した。

実証実験により設置された船橋駅北口の喫煙所(船橋市HPより)
実証実験により設置された船橋駅北口の喫煙所(船橋市HPより)
【写真】

 アンケート結果でまず注目すべきは、船橋駅周辺で「指定喫煙所があることで公共の場所での喫煙やポイ捨ては減ると考えるか」を聞いた設問への答え。2023年7月のアンケートでは、実に93%の人が減ると答えている。このアンケートに答えたのは設置された指定喫煙所の利用者。つまり喫煙者の9割以上が、喫煙所があれば積極的に利用すると答えているのだ。

 とはいえ、煙草を吸わない人にとって喫煙所は、利用しない施設。喫煙所を設置することをどう考えているのか。2023年5月に船橋駅周辺における駅利用者等に聞いた「喫煙所の設置について」では、「良い」と答えた人が79.3%(うち非喫煙者は76.5%)、「清掃費用や電気代などの費用負担をしても喫煙所の設置を継続するべきか」を聞いた結果は、「するべき」が80.7%(うち非喫煙者は78.2%)と、非喫煙者も喫煙所を設けることに理解を示していることがわかる。

 また実証実験におけるその他の検証項目(船橋駅周辺地区)を見ると、指定喫煙所開設前12か月と開設後18か月との比較で、違反件数が月平均で67.7%減、散乱ごみ数(吸殻のみ)は22.8%減、また路上喫煙率も83.3ポイント減と、指定喫煙所の設置が公共の場所での喫煙やポイ捨て防止に一定の効果をもたらしていることが見て取れる。

 船橋市のデータからも分かるように、分煙施設の整備は、いまや喫煙者と非喫煙者の共存を図るうえで重要な施策。先述の総務省の文書を見ると、2018年から2024年の7年間で全市区町村の5割に近い798団体が分煙施設を整備。市区だけを取り出してみても全815市区の52.9%、431団体が分煙施設を整備している。

 2023年の厚生労働省の国民健康・栄養調査によれば、2023年時点で20歳以上の男性の喫煙習慣者の割合は、男性が25.6%、女性が6.9%。ピーク時(1966年)に比べると3分の1程度にまで減っているとはいえ、単純計算で今でも1500万人前後の愛煙家がいることになる。喫煙が健康に影響を与えることは確かだが、ストレス解消やリラックス効果を求めて紫煙をくゆらす喫煙者と非喫煙者は、実社会の中で共存関係にあることもまた現実。それぞれが幸せに暮らしていくために、分煙対策のさらなる取り組みが必要だ。