目次
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ー さっぽろ雪まつりで導入されたユニークな喫煙所
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ー 吸う人も吸わない人も好意的に受け止めた喫煙所の設置
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ー 受動喫煙対策に関して、区市町村間の連携を図る東京都

 2020年4月に全面施行された「改正健康増進法」によって、望まない受動喫煙を防止するための取り組みはマナーからルールへと変わり、公共施設をはじめ、オフィスや飲食店など屋内は原則として禁煙となった。それに伴って街中に見られた灰皿の多くが撤去されたが、歩きたばこや吸い殻のポイ捨てなどの迷惑行為が目立つようになったという声も聞く。あれから5年、望まない受動喫煙の防止や環境美化を推進するためにも分煙施設の設置が推奨されているが、各自治体はどのような対策を行なっているのだろうか。【大都市の分煙事情】として3日連続で、全国9つの大都市の役所に取材し、現状をお伝えする。

 今回は北海道の中心札幌市、東北一の大都市仙台市、そして日本の首都東京都の取り組みに迫る。

さっぽろ雪まつりで導入されたユニークな喫煙所

イルミネーションに輝く大通公園(ようこそSAPPORO写真ライブラリーより)
イルミネーションに輝く大通公園(ようこそSAPPORO写真ライブラリーより)

 年間を通して国内外から多くの観光客が訪れる札幌市。特に札幌の冬を彩るさっぽろ雪まつりは、今年も2月4日から11日までの1週間でおよそ233万人もの来場者を記録し、大いに盛り上がりを見せた。その会期中は中国の旧正月・春節とも重なり、雪まつりの会場には多くの中国人観光客が集まったが、中国には3億人もの愛煙家がいるといわれている。中国ではたばこが文化的に親しまれており、特に年配の男性の間では、来客や友人にたばこを勧めることが習慣となっていることもその一因だろう。

 そんな中国人観光客をはじめ、さっぽろ雪まつりでは愛煙家への対策がしっかりと行われていた。雪まつりの会場は禁煙だが、会場内には喫煙所が数か所設置されており、大通会場4丁目STV広場に設けられたスノードーム型の喫煙所では、温かい飲み物が無料で提供されるなど、一服できるスペースとして好評を博していた。

 なお、札幌市では、2004年12月14日に「札幌市たばこの吸い殻及び空き缶等の散乱の防止等に関する条例(ポイ捨て等防止条例)」が施行され、市内全域における“ポイ捨て”の禁止および喫煙制限区域(大通公園や札幌駅周辺など約86.7ヘクタール)における喫煙の禁止といったルールが定められている。

 しかし、条例が施行されてからも、大通公園で喫煙者が一角に集まって一服している現状を見て市民から苦情が発生しており、札幌市保健福祉局は2023年12月に大通公園西5に簡易な喫煙所を設置。タバコを吸う人と吸わない人の双方にとって、喫煙所の有無が公園の利用環境の向上につながるかどうかを調査する二つの検証を行なった。