吸う人も吸わない人も好意的に受け止めた喫煙所の設置
まず札幌市保健福祉局が行なったのは、公園内の喫煙者の人数を計測する調査。簡易喫煙所の設置前は2023年11月28日・30日、設置後は同年12月12日・14日と2024年5月8日・9日の各平日2日間で、12:30~13:00と15:00~15:30の1日2回計測が行なわれた。場所は大通公園西5~7丁目の公園内だ(設置後は喫煙所内も計測)。
「喫煙者数調査を行なったいずれの日時においても喫煙所は利用されており、一定の需要があることが確認できました。ただ、利用者の多い12:30~13:00の西5丁目は、喫煙所だけでなく路上喫煙者も見受けられ、12:30~13:00、15:00~15:30のいずれの時間帯も西6、7丁目での路上喫煙者の減少傾向は見られませんでした」(担当者)
この計測では、簡易喫煙所を設置しても路上喫煙者の人数に大幅な変化はなかったようだが、同時期に行なわれた公園利用者・喫煙所利用者へのアンケートでは興味深い結果が出ている。
「2024年5月7日~9日の3日間、休日は5月5日、11日の2日間、10時~16時の時間帯に、大通公園西4~6丁目(公園利用者)および西5丁目喫煙所(喫煙所利用者)で喫煙所の設置に伴う大通公園での過ごしやすさや利用頻度、活動拠点の有無などについてヒアリングを行ないました(5月7日は雨天により1時間で中止)。
回答数は5日間で845件(公園利用者658件、喫煙所利用者187件)で、吸う人・吸わない人を住み分ける取り組みそのものは、ほぼすべての人が良い取り組みであると感じ、公園利用者・喫煙所利用者ともに90%以上の人が、喫煙所設置後は公園が過ごしやすくなったと感じていたことがわかりました。一方で、喫煙所の衝立越しでも臭いや煙を感じている人も見受けられました」(担当者)。
札幌市保健福祉局によると、喫煙制限区域内における新たな分煙施設の設置に関してはまだ未定とのことだが、吸う人・吸わない人を住み分ける取り組みはほぼすべての人が好意的に受け止めているアンケート結果からも、何らかの分煙対策が急がれるところだ。分煙施設を設置し、その存在を周知させれば、路上喫煙者の減少につながる可能性もあるだろう。
分煙の課題に揺れているのは札幌市だけではない。杜の都・仙台市の中心部にある勾当台(こうとうだい)公園も、平日の昼時になると喫煙所に愛煙家が詰めかけ、受動喫煙が問題視されているという。こちらも2021年に分煙の社会実験を試みる予定だったが、コロナ感染拡大防止の観点から実施が見合わせとなった。その後、公園内に設置されていた喫煙所は園内東側の“みどりの道”に移設。
仙台市健康福祉局によると、「移設後の喫煙所には、受動喫煙防止の啓発看板設置や人感センサーによる呼びかけなどの対策を実施しており、今後も継続していく予定」とのことだが、同公園は今年度中にも再整備工事に着手する予定となっている。事前に寄せられた公園利用者の意見には、「喫煙者用のスペースを作ってほしい。副流煙はイヤ」という声も上がっており、同公園における喫煙所設置も課題のひとつといえる。