そして、やはり身体を動かすことも重要。運動で血流量が増えると、血管内皮細胞に物理的刺激が加わり、血管をやわらかくする作用のある一酸化窒素が増え、動脈硬化が改善するといわれる。

日本動脈硬化学会のガイドラインでは、ウォーキング、速足、水泳、エアロビクス、スロージョギング、サイクリングなどの有酸素運動を、ややきついくらいの強度で、毎日30分、あるいは週150分を目標に、週3回ほど行うことを推奨しています。こまめに歩くことも心がけたいです

 座位時間が長いと、心血管疾患や冠動脈疾患、脳卒中、糖尿病の発病が増え、心血管疾患による死亡が増えるという研究もある。だが座り続けることを中断すれば血糖値やインスリン抵抗性が改善することもわかっている。

日常生活で座っている時間が長いという人は要注意。座りっぱなしを避け、立ち上がったり歩いたりすることを意識したい※写真はイメージです
日常生活で座っている時間が長いという人は要注意。座りっぱなしを避け、立ち上がったり歩いたりすることを意識したい※写真はイメージです
【写真】上皇陛下にも執刀、世界屈指の心臓血管外科医の著書

加齢に伴い筋力は衰え、運動習慣がないと全身の筋肉量も減っていきます。血管も筋肉のひとつですから、筋肉量を増やすことができれば、血圧の調整がうまくいき、インスリン抵抗性が改善されたり、善玉コレステロールも増えます。

 もちろん、循環器病にとっては有酸素運動も大切です。あえて少し遠いお店まで買い物に行ったり、歩く距離に応じてポイントが貯まるアプリを利用するなどして、日常的に動くことを意識しましょう

天野篤先生●心臓血管外科医。順天堂大学医学部特任教授。2012年には上皇陛下の心臓手術を執刀。2016年4月より2019年3月まで順天堂大学医学部附属順天堂医院院長。心臓を動かした状態で行うオフポンプ術の第一人者で、これまで執刀した心臓血管外科手術は1万例を超える。
天野篤先生●心臓血管外科医。順天堂大学医学部特任教授。2012年には上皇陛下の心臓手術を執刀。2016年4月より2019年3月まで順天堂大学医学部附属順天堂医院院長。心臓を動かした状態で行うオフポンプ術の第一人者で、これまで執刀した心臓血管外科手術は1万例を超える。

天野 篤先生●心臓血管外科医。順天堂大学医学部特任教授。2012年には上皇陛下の心臓手術を執刀。2016年4月より2019年3月まで順天堂大学医学部附属順天堂医院院長。心臓を動かした状態で行うオフポンプ術の第一人者で、これまで執刀した心臓血管外科手術は1万例を超える。著書に『60代、70代なら知っておく 血管と心臓を守る日常』(講談社ビーシー)

天野先生の著書『60代、70代なら知っておく 血管と心臓を守る日常』(講談社ビーシー)※画像をクリックするとAmazonの商品ページにジャンプします。

文/植田沙羅