会話に入れない孤独感、ひきこもり状態に
小学2年生で腰骨を上顎に移植する大手術、4年生のときには1か月にわたる入院生活で、上顎を前に出す施術も行った。
闘病生活は身体への負担が大きく「なぜこんなことを」と、つらい思いもした。中学校へ進学すると、思春期となり容姿の悩みが深まり、自傷行為を繰り返すようになる。
「友達付き合いも恋愛も“あの子ってかわいいよね”と、見た目がきっかけになる場面は多い。病気があることは、こんなにも人間関係に関わってくるのかと。うまく会話に入れない孤独感から、誰も障害者とは友達になりたくないんだと思い込んで、登校拒否に。
仕事で忙しい両親には悩みを打ち明けられず、リストカットを繰り返すことでつらい気持ちを紛らわせていました。周囲の視線が気になって昼間に出歩くこともできなくなり、対人恐怖症は悪化。ひきこもり状態が続きました」
そんな日々を救ったのは、メイクの力だ。
「当時はギャルが流行(はや)っていて、ギャル雑誌が心の支えでした。なかでも素顔とメイク後の違いを紹介する記事に驚き、メイクをすることで自分もコンプレックスを解消できる気がして、家で練習を繰り返していましたね」
なんとか心を保った小林さんは、フリースクールに居場所を見つける。その後は高校へと進学し、親友もできた。
「親友といるときだけはマスクで顔を隠さなくても平気なくらい、心を許していました。何より私を“病気の子”として見ていないのがうれしかったですね。
それまではコンプレックスを隠すメイクをしていましたが、彼女は“瞳がきれいだからアイメイクに力を入れたら?”とポジティブに変換してくれて。自分のことが大嫌いだったけど、そんな自分を好きでいてくれる親友のためにも、自分磨きを頑張っていました」