「体調不良や微熱を感じて、いきなり総合病院や大学病院に行くのは間違い。まずは近所の医院やクリニックを受診しましょう」

 そう話すのは、秋津医院院長の秋津壽男先生。病院も使い分けが大切だとか。

「医療には1次から3次まで区分けがあります。近所の個人医院やクリニックなど外来診療にあたる1次医療、入院・検査・手術などを行う総合病院の2次医療、国立がんセンターなど先進医療を担う3次医療。それぞれの病院は、その区分けに応じた特徴を持っていますから、患者さんも賢く使い分ける必要があります」

 例えば、総合病院や大学病院は高度な設備を持っているが、患者数も多く個人の体調変化には気づきづらい。

「その点、地域にあるクリニックや医院は患者さんの細かな変化にも敏感。ふだんからかかりつけ医をつくっておけば、大病の早期発見の可能性も高まる。手術が必要な時も信頼できる医師を紹介してもらえます」(秋津先生)

 では、いざ手術が必要となった時、頼りになるのは大学病院? それとも中堅病院?

「判断のポイントは2つあります。ひとつ目は“手術の難しさ”。盲腸や鼠径ヘルニア、痔などの簡単な手術の場合、大学病院はあまりオススメしません。というのも、大学病院は学生を育成する場ですから、簡単な手術は経験の浅い医師や研修医に任されることが多いからです。ミスがあるとは言いませんが、このレベルの手術を受けるなら、経験豊富な医師のいる中堅病院やクリニックを選んだほうが無難でしょう」(秋津先生)

 もちろん、人員、機器ともに充実した大学病院が悪いわけではなく、先端医療が必要な難手術、心臓や脳の大手術では心強い存在となってくれる考えていいそうだ。

 2つ目のポイントは“医師の年齢”。

「腕の立つ医師の年齢は常に40歳前後です。大学病院なら准教授クラス、中堅病院なら科長・部長クラス。彼らは技術的に脂が乗っているので、執刀医がこの世代ならば大学病院、中堅病院のどちらでも安心です」