「水だけのファスティングは、猛烈な飢餓感と身体の変化も強くなりがちで、挫折してしまう人が多いんです。酵素をとりながらのファスティングは、代謝の効率がよく、緩やかに身体が変化していくので成功率も高くなります」

 今や女性の死因でいちばん多いがんの中でも、1位は大腸がん。便秘も腸に便が長くとどまることで悪玉菌が増え腸内環境を悪化させる。

「定期的なファスティングは体重の減少だけでなく、内臓を休め、腸内環境の改善にも役立ちます」

 ただし、腸内環境は人によって違うため、みんなが同じ結果を得られるわけではない。ファスティング期間も人それぞれ。自分の身体と見つめ合う時間を持ち、ファスティングをきっかけに生活習慣を改め、その延長線上に健康があるということ。

「海外でファスティングは保険が効く治療として確立されているところも多く、ドイツでは“メスのいらない外科手術”と言われています。ロシアの断食病院では、リウマチ、アトピー、糖尿病などで入院した患者の3分の2は症状が消えたそうです」

 こうしたファスティングは、これから日本でも健康法の常識になっていくかもしれない。病気だけでなく、健康な人がより健康になるための方法だとも中村さんは言う。

「私たちの世代ですと、更年期で代謝も落ち、なかなかやせにくくなっているんですよね。でも体重が減れば、関節への負担も減り、女性特有の変形性ひざ関節症や変形性股関節症に発展する“ロコモティブシンドローム”の予防にもなります。病気を遠ざける身体をつくり、健康寿命を延ばすことが重要なんです」

■ファスティングのコツは回復食にある

「ファスティング後の身体は飢餓状態で、満腹ホルモンが出にくくなっており、元に戻るまで約1か月かかると言われています。食べたい欲求を我慢していたストレスも加わると、リバウンドを起こします。ですから、回復食がキーポイント。

 おかゆから始めて、野菜などを組み合わせ、徐々に通常食に戻していくのが理想です。回復食の期間はファスティングの期間と同じ長さを目安にしてみてください。そして、体調がまた悪くなったり、食べすぎが続いてしまったらファスティングをするという感じです」