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 寝苦しい夏の夜。冷房をガンガンにきかせて寝たいけど、夏ほど冷え症に悩まされる人も多いとか……。しかも今年はラニーニャ現象で、例年より猛暑になるそう。そこで、熱帯夜でもぐっすり眠れる快眠ワザを専門家に聞いた。

■この夏は記録的な猛暑になる可能性も

 先日、“2016年は観測史上最高の暑さになる”と、NASA(アメリカ航空宇宙局)の気象学者がツイッターでつぶやいたことが話題となった。

「今年は春にエルニーニョ現象が終息しており、夏にラニーニャ現象が発生する可能性が高いと言われています。ここ数年で、この2つの現象が発生したのは2010年。この年は記録的な猛暑となりました。日中だけでなく、夜になっても気温が下がらずに熱帯夜の日数が多くなるという特徴もあります」(ウェザーマップの気象予報士・多湖安那さん)

 ラニーニャ現象は、太平洋の熱帯域の中部から東部にかけての海面気温が基準値より低くなる現象。地球全体に影響を与え、日本では夏が猛暑になりやすく、冬は寒くなりやすい。逆に、エルニーニョ現象は海面気温が高くなる現象。

 また、熱帯夜とは、夕方から翌日の朝までの最低気温が25度以上になる夜のこと。気象庁の過去113年間の記録の中で、2010年の夏の平均気温がもっとも高かったという。

「最新のデータによると、特に東京や大阪など大都市では1日で30度を下回る時間帯がものすごく少なくなってきています」(多湖さん)

 ベースの気温が上がっているところに、ラニーニャ現象が発生したら……。夏の暑さはそうとう厳しいものになる。

「この先、6月下旬にかけて平年より降水量も増えるという予想も出ています。暑いだけでなく、湿度も高くなる。まさに寝苦しい夜が続く可能性が高いです」(多胡さん)

 厳しい夏の夜をどう乗り切ればよいのか、睡眠など生活に密着したアドバイスが好評の和奏漢方堂薬店・橋本和也さんに聞いてみた。

【1】冷房はつけっぱなしでOK

「“クーラーは身体によくない”と冷房をつけずに寝るのは危険な場合があります。現代の夏は昔とは比べものにならないほど暑い。ガマンすると不眠どころか健康を害することがあります」

 暑さを我慢することはストレスになり、自律神経のバランスを乱して不眠につながるという。

「自分が快適と思う設定温度で冷房をつけてよし。ですが、風が直接、身体に当たると、ストレスになり自律神経を乱すので気をつけて」

【2】くるぶし靴下で血の巡りをよくする

 冷房はつけていいが、ただし“くるぶし”だけは冷やしてはダメだという。

「くるぶしのまわりは自律神経やホルモンバランスを整える重要なツボが集中。漢方では“精がたまる場所”と言われるくらい重要な部位です。ここを温めると、身体全体の巡りがよくなり快眠へと導かれます」

 そこで、橋本さんがすすめてくれたのが“くるぶし靴下”。ムレやすい指先部分は温める必要はなし。ただしレッグウォーマーなどは就寝中にズレる可能性があるので避ける。作り方は、ゆるめの靴下のつま先部分をハサミでカットするだけだ。

「この靴下をはいて寝ると、くるぶしが冷えず精気が巡り、全身の血の循環がよくなります」

【3】口にテープで“鼻呼吸”を促す

「あとは、日々の生活習慣を少しだけ気をつければ、眠りは劇的に変わるでしょう」

 では、どんな生活習慣に気をつければいいのだろうか。

「いちばんのオススメは、鼻呼吸。就寝中に口が開いて、のどがカラカラになって起きるなんて人が多いですよね。口呼吸は眠りに悪影響が出るばかりか、健康を害します」

 鼻呼吸は、乾燥して冷たい空気などを最適な状態にして、肺に送り込むため、身体が冷えるのを防ぐ。一方、口呼吸は唾液が減り、免疫力を低下させる原因に。

「就寝前に唇に医療用テープ(サージカルテープ)を貼りつけて寝てください。朝とれていても大丈夫! 鼻呼吸のクセをつけることが大事です」

イラスト/ますみかん