基本的な治療は病巣を部分的に、あるいは乳房全体を切除する外科手術。5年ほど前から、大きく変わったのが薬物療法だ。以前は身体に負担がかかる抗がん剤で全身への転移を防いでいたが、現在はホルモン療法や分子標的薬など、身体に負担がかかりにくい治療が行われている。
「がん細胞のタイプによって、使用する薬が異なります。ホルモン受容体を持っているか、“HER2”という遺伝子タンパクを持っているか、両方とも持っていないかで分けられます」
南果歩は7月にブログで“ハーセプチン治療を開始した”と書いている。これは“HER2”を持つ乳がんに有効な抗がん剤。
「乳がんの9割は原因がわかっていません」
治療費はすべて保険適用。乳房再建手術も保険がきく場合もある。治療は進化しているが、年々乳がん患者は増えている。なかでも、
「遺伝性の乳がんは、全体の1割といわれています」
ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリー(41)が乳がん遺伝子を持っていたため、乳房と卵巣を切除したことは記憶に新しい。
「乳がんの9割は原因がわかっていません。ただ、食生活などの生活習慣が関係していると考えられます」
乳がんを早期発見するためには、年に1度の検診が望ましい。
「マンモグラフィー、超音波診断、触診の3つを受診しましょう。そして、自己検診は絶対に大事です。乳房のしこり、形や大きさの変化、へこみや引きつれを入浴時などにチェックしましょう」
<この先生に聞きました>
菊池義公先生
菊池がんクリニック院長。前・防衛医科大学校産科婦人科学講座主任教授。婦人科がんの治療と研究のスペシャリスト。特に、新しい分子標的薬による治療では、多くの成果を上げている。