「発達障害のある家庭っていったいどうやって過ごしているの?」という疑問にわかりやすく答えてくれるのが実話コミックエッセイ。不安や戸惑いを抱えながらも、問題を乗り越えながら、前向きに楽しく日常を過ごす様子が描かれている。
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発達障害が世間で話題になるにつれ「うちの子どもや夫も、もしや!?」と疑った人は多いはず。
でも、その違和感だけで病院に飛び込むのは早い。なぜなら、発達障害の症状の出方は個人差が大きく、十人十色だからだ。
こどもメンタルクリニック新大塚の原成輝院長によれば、そもそも発達障害の専門病院はまだ少なく、急増する患者に追いついていない状況だという。
「認知度が上がったのはいいことですが、その響きに焦って“うちの子は大丈夫か”と病院に駆け込む方が多い。初診に1年待ちなどという状況もザラです。まずは支援センターや教育センター、学校であればスクールカウンセラーに相談し、必要そうであれば病院へ。発達障害にまつわる書籍も多く出ていますので、そちらを参考に理解を深めることもできます」
そこで手始めに、発達障害のある家族をテーマにした作品を読むことをおすすめしたい。日常生活の中での事例がわかりやすく描かれているものが多く、ほかの家族に与える困惑や問題が描かれた作品もある。
やみくもに不安がるのではなく、情報収集して、正しい知識を身につけることが大事。当事者にしかわからないエピソードの数々を知ることは、周囲の発達障害のある人たちへの理解にもつながるはずだ。
WEB連載で話題沸騰!誰も気づけない障害を描く
●『うちの子は字が書けない~発達性読み書き障害の息子がいます』(千葉リョウコ著 宇野彰監修 1200円 ポプラ社刊)
小学2年生になっても字が書けるようにならなかった息子・フユくん。ノート1ページの漢字練習に1時間、黒板の字は写しきる前に消されてしまう。そんなフユくんは発達性読み書き障害と診断された。この障害は、知的発達には問題がなく、教室での行動にも目立ったところが出にくいため、学校でも家庭でも気づかれにくい。本書は日本でほとんど知られていない発達性読み書き障害について当事者が描いた初めてのコミックエッセイ。
〈担当編集者からのコメント〉
「程度の差はあっても40人学級に3人の確率でいるのに、ほとんど知られていない発達性読み書き障害。当事者である親子の実体験を、しっかりとした監修のもと描いた物語です」
アスペルガー親子の明るい子育て記録
●『マンガ版 親子アスペルガー 明るく、楽しく、前向きに。』(兼田絢未著 松鳥むうマンガ 合同出版刊 1300円)
仕事も育児もまったくうまくいかないダメ人間。自分を責めてばかりで心が安まるときはなかった。そんなアスペルガー症候群(現在の診断名はASD)の母親による、アスペルガー症候群の2人の息子との、怒って泣いて笑って感動の子育て記録。本書では、ASDの人の感覚特性を、日常のエピソードを通してわかりやすく紹介。また本音と建前の間で苦しむASDの人たちにどのように伝えたらよいかのヒントがたくさんつまった作品だ。
〈担当編集者からのコメント〉
「納得できないことに対し理論でていねいに説明していく子育て法は筋が通っている。お母さんが精神的に不調なときに息子たちが慰めてくれている様子は心が温まります」