スマホや新聞の文字が見えづらいときに便利なメガネ型拡大鏡。100均でも売られており、今、中高年に人気の商品だが誤った使い方により、体調不良や眼精疲労、転んで骨折するケースも。選び方から快適で安全な使い方まで専門家に尋ねた。

CMで話題のメガネ型拡大鏡

 加齢とともに誰もが避けては通れない視力の衰え。一般に老眼の始まりは40歳ごろからと言われているが、近年はパソコンやスマートフォンなど日常的に目を酷使するシーンも増え、早くから老眼の症状を訴える人は多い。

 そんななか昨今人気を集めているのがメガネ型拡大鏡。両手が自由に使える手軽さと、ファッション性の高さで利用者が増加する一方、誤った使用によるトラブルや相談も目立つ。

 2015年度以降の5年間で、全国消費生活情報ネットワークシステムに届いたメガネ型拡大鏡に関する相談件数は計419件。国民生活センターによると、

「相談内容の中でも顕著だったのが、『拡大して見えない』、『ぼやけて見える』、『表示倍率どおり見えない』といった相談です。そのほか『クラクラする』、『頭痛がある』、『吐き気がする』、『歩いていたら転んで肋骨を折った』など深刻な事例も寄せられている」

 こういった不調を抱え、眼科医を訪れる人も多い。かわな眼科院長の川名啓介先生に話を聞いた。

「メガネ型拡大鏡の相談で多いのが、『見えない』、『見えづらい』、『疲れる』という声です。相談が増えたのは、やはりCMが盛んに流れ出したころからだったと思います」

 豪華俳優陣を起用したメガネ型拡大鏡のテレビCMは当時、大きな話題を集め、一般に広く浸透するきっかけにもなった。利用者が急増していって、相談も増えたというわけだ。

「患者さんの話をよくよく聞いてみると、老眼鏡を使わずにメガネ型拡大鏡を使っている。多くの方が老眼鏡とメガネ型拡大鏡を同じものだと思っているのでは」(川名先生)