50歳を過ぎて、人並みに健康にも気を使う日々。昨年、市の乳がん検診を受け、結果は異常なしだったが、胸の下部に小さなしこりがあるのが気になっていた。それを申告したところ再検査となり、「非浸潤性(※)のがんの疑い」という結果が。ただ、そのしこりは良性で、しこりとは別の部位にがんの疑いが見つかった。検診でも自己触診でも気づけなかったのが、たまたま良性のしこりに気づいたことで、がんの早期発見につながったのだ。
※非浸潤性:がん細胞が乳管内にとどまっている状態
検査で全てが見つかるわけではない
「近年は検査機器の精度が上がったことで早期がんが発見されるようになりましたが、マンモグラフィー、またはエコー検査を毎年受けていても、すべてが見つかるわけではありません。一般の健康診断でがんが発見される確率は3割程度だといわれています」とは医療アドバイザーの御喜千代さん。
とはいえ、この段階では、まだ確定診断ではなかったため、「自分ががん? まさか」と半信半疑。その後、細胞を採取して診断を確定する「生検」を行うため大学病院へ。10日後に「心配していたとおりの結果でした。ステージ0の乳がんです」と告知を受ける。この時は、ショックというより、とにかくピンときていなかった。
「ステージ0とは極めて早期で、今のところ転移の心配はないが、放置すると腫瘍が大きくなったり転移の心配が出てくるため、手術が必要」という説明も、どこか他人事。しかし、手術では、がん部分だけでなく「腫瘍の拡がり具合によっては、乳房全摘出もありえます」と言われ、一気に緊張感が高まった!
その後、CTやMRI、骨への転移を調べる検査を受け、転移や腫瘍の拡がりはなく、手術は部分切除(乳房温存手術)が可能となり胸をなで下ろした。
そして、仕事のスケジュール調整などを経て今年2月に入院。予定日数は3〜4日と思ったより短期だった。
「入院日数は、同じステージでも手術内容、術後の経過、患者の要望など、さまざまな事情により異なります。ステージ3でも3日間で退院という方もいます」(御喜さん)