落ち込みやすい、ストレスに弱い、更年期のせいか気持ちがゆらぐ……これらのネガティブ感情の9割は食生活がつくり出している!感情に左右されず、やる気も集中力もアップする食事テクを身につければ、生活の質ががらりと変わります。
感情は栄養がつくっている
「毎日を穏やかな気持ちで過ごせるのか、精神的な浮き沈みが激しくなるのかは日々の食事によって変わります。実は、感情は栄養がつくっているんです」
そう話すのは管理栄養士の岡城美雪さん。感情やメンタルの浮き沈みは環境要因が大きいと思いがちだが、岡城さん自身、身をもってこのことを体感しているという。
「私は幼少期から疲れやすく繊細で、些細なことで落ち込んだりと、メンタルが非常に弱かったのです」(岡城さん、以下同)
こうした体質やネガティブ感情は、持って生まれたもともとのものであって、食生活と結びつけて考えることはなかった。しかし、栄養学を学んでいくうちに、それらの多くの部分が食べ物で解決できると気づいた。
「糖尿病の患者さんはインスリン注射によって血糖値を下げますが、その血糖値のコントロールがうまくいかないと低血糖を起こすことがあります。低血糖の症状として倦怠感や手の震え、ふらつきなどが挙げられますが、これは、糖尿病でなくとも陥る症状です」
極端なダイエットをしたり、栄養バランスが乱れていると同様の症状が出ることがあるそうで、これは低血糖を起こしている状態といえる。
さらに低血糖は感情面にも大きく影響する。例えば、空腹時や夕方、深夜にイライラしたり漠然と不安に襲われることはないだろうか。
「この時間帯は“糖の貯金”が減少しやすく、低血糖が起こりやすくなります。血糖値が下がると、身体はアドレナリンやノルアドレナリンといったホルモンを出し、血糖値を上げようとしますが、これらのホルモンは神経伝達物質と呼ばれ、過剰に分泌されるとイライラしたり怒りっぽくなったり、不安感が増大するのです」
岡城さんのメンタルが一番不安定だったのは社会人1年目のころで、とにかく食生活が乱れていたそう。
「忙しさにかまけて朝ごはんはパン。勤務日のお昼は社食でバランスのいい食事でしたが、休日はほぼパスタで、夕食もパン。その食生活を続けていくうちに、どんどん不安感が強くなり、夜になると死を考えることまで……。今思うと、糖質過多の食生活で高血糖になり、その反動で激しい低血糖に陥っていたのです」