目次
Page 1
ー 御年93歳の現役ユーチューバーは、家庭料理の楽しさ伝道師
Page 2
ー 『ろく刀』切れ味のポイント
Page 3
ー さらに、現代の家庭で使いやすいように

 

 日本一の和の職人が包丁を選ぶと「鋼の包丁」をイメージされる方が多いでしょうか。それがいやいや、鉄人・道場が自身のプロデュース調理道具に選んだのはステンレス。そして「大成功だねえ〜」とご満悦な様子です。なぜステンレス? その秘密を道場六三郎さんにうかがいました。

御年93歳の現役ユーチューバーは、家庭料理の楽しさ伝道師

道場六三郎さん
道場六三郎さん

 道場六三郎さんは、言わずと知れた日本を代表する和の料理人。1993年にフジテレビ系列で始まり、平均視聴率14%以上を誇る伝説の料理対決番組「料理の鉄人」で初代和の鉄人に君臨。

 その後さまざまな場面で活躍し、2007年には旭日小綬章を受章しました。趣味は、ひらめきの家庭料理とゴルフ。

 93歳になった今も家庭料理の楽しさやヒントを、登録者数20万人以上を誇る自身のYouTubeチャンネル『鉄人の台所』で発信。まだまだあふれ出す料理のアイデア同様、調理道具についても使いやすさを求めてアイデアが炸裂しています。

 そんな道場さんが、この度鉄の打出しフライパン「ろくパン」に続く第2弾の調理道具としてプロデュースしたのが『ろく刀』です。

700年もの伝統技が生み出す「抜群の切れ味」

 「鋼の包丁だと、大出刃、子出刃、刺身、菜切りと何本も必要になる。1本だけで全部を満たして、家庭で使いやすいように、お手入れは簡単なのがいい。そう考えるとステンレス包丁になったんです。それに『ろく刀』は関の職人が手がける包丁だから、切れ味も抜群でねえ」

道場六三郎さんプロデュース『ろく刀』
道場六三郎さんプロデュース『ろく刀』

 関とは、岐阜県関市のこと。ここは日本三大刃物産地(大阪府堺市、新潟県三条市)であり、世界三大刃物産地のドイツ ゾーリンゲン、イギリス シェリンガムと肩を並べる、世界的にも注目される産地です。

 鎌倉時代、刀鍛冶が数多く移り住み、その後江戸時代末期まで日本屈指の名刀の産地として名を轟かせてきました。

 世の中に平和が訪れ、明治に廃刀令が発布されると、関では、刀作りから刃物作りに切り替えます。ドイツ製のポケットナイフを手本に日本初の洋式小型ナイフを作ったのも関の職人であり、昭和になって発明されたステンレスをいち早く取り入れたのも、関の職人でした。

 鎌倉時代から続く刀鍛冶の精神と、時代と共に変化し、一歩先を行く先見の明が、関の職人に培われているのでしょうか。今では「ステンレス包丁の街」として伝統技が生きています。

 その技に道場さんは、同じ職人としての心意気に共感し、このプロジェクトは進んだのです。

写真提供:関市観光協会
写真提供:関市観光協会