政府が試算した、2025年に在宅医療や介護を受ける人の数は約30万人。
「10年後、3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上に!」こんな衝撃的な数字がニュースを賑わせる昨今。
高齢化が進むなか、厚生労働省は「在宅医療・介護推進プロジェクトチーム」を発足し、公費負担が多い病院ではなく、在宅介護へとシフトしようとしている。
誰もが介護に直面する可能性がある今、社会問題となっているのが、介護をする人のストレス。その負担を増大させるものとして”ニオイ”が注目されているという。
介護者・被介護者両方にとって大敵であるニオイ。対策はできないのだろうか。杏林大学医学部精神神経科学教室の教授で、長年ニオイが人に与える影響を研究してきた、古賀良彦先生に聞いてみた。
「ニオイはどうしようもないとあきらめがちですが、実は介護、家事のやり方によって防ぐことができます。今は、介護専用の洗剤なども出ていますしね。しっかりとケアをしている老人介護施設では、嫌なニオイがしないものなんですよ」
ニオイは直接、感情に働きかけるものだけに、取り除くことで軽減される心理的ストレスは大きいという。気持ちに余裕ができると、介護者も被介護者も優しい気持ちに。さらに、困ったことを自分の工夫で克服したという成功体験は、満足感、達成感も生み出してくれるというのだから、ニオイ対策は見逃せない。
介護ストレスの対処法で基本になることを古賀先生に聞いた。
「介護を続けるには、レスト(休息)、レクリエーション(楽しみ)、リラックス、3つの『R』が必要です。例えば、夜のおむつ替えだけは夫に代わってもらい、ぐっすり眠る。料理をするとき1品だけ工夫して自分好みに仕上げてみる。散歩や、外出が難しければベランダで深呼吸するなど、介護現場を離れてくつろぐ時間をわずかでも作る。生活のなかで、できる範囲で3つの『R』を意識してみると、ストレスはずいぶん減りますよ」