大脳辺縁系を守る6つのルール
脳幹を守れるようになったら、次は大脳辺縁系の扱い方。脳がコントロールされているか、されていないかは、第2層の欲望と感情が制御できているかで決まります。
脳機能は、第1層から順に立ち上がっていきます。感情(第2層)は理性(第3層)より下位にありますが、お互いに通信しあうことで適切にコントロールされます。第2層では、ものごとに対する意欲や喜怒哀楽といった精神的なエネルギーを生み出しますが、その手綱を握るのは、第3層の理性です。
大脳辺縁系は“感情”と“欲望”をつかさどる中枢です。食欲や、やる気など、自分を突き動かし牽引してくれる感情エネルギーの源なのです。ふだんは、理性をつかさどる大脳新皮質と通信し合うことで適切にコントロールされていますが、過剰に興奮してしまうと大脳新皮質は機能を停止してしまいます。そうならないよう大脳辺縁系の手綱をしっかりと握りましょう。
6:喜怒哀楽を少なく、やわらかな心を持つ
自分のプライドやこだわりを捨てて、一歩下がって自分を見つめましょう。穏やかな心で社会に参加し続けることは、一生、脳を枯れさせないための重大な留意事項です。
7:人間関係を5人以上もつ
定年によって人間関係にも変化が訪れます。しかし、意識して社会とのつながりを見直し、新たな関係を結んでいくことが大切です。夫婦2人の場合、まずは互いのパートナーがいます。あとの4人は? 趣味の仲間や親戚との付き合いもいいでしょう。また、新たな職場や地域の活動などで自分が関わるフィールドを広げてください。ペットとのコミュニケーションも新しい人間関係につながるかもしれません。
8:暴走のきっかけ自体を絶つ
誰でも突然、理性が失われ、暴走する可能性を持っています。例えば、酔っぱらい。アルコールのせいで前頭葉(大脳新皮質の一部)が麻痺して機能不全が起きるため、暴走してしまうのです。原因を作らないように中年以降は、アルコールやタバコの依存症、暴飲暴食に注意してください。
9:ストレスをため込まない
脳が感じた感情は、常にエネルギーとして外に出しておきたいもの。しかし、実際の社会生活において、怒りや悲しみなど、我慢しなければならないことはたくさんあります。手軽な解消法として、好きな香りを嗅ぐ、音楽を聴くなど、ストレス軽減につながる手段をなるべくたくさん持つことをオススメします。
10:前頭葉を活性化させる
大脳辺縁系の偏桃体(好き嫌いなどに関わる部分)の異常興奮は、前頭葉を活性化することで抑えることができることがわかっています。活性方法としては「今、この場だけを感じる」トレーニングが有効です。瞑想や座禅、マインドフルネスなどを行うと情報が整理され、脳がすっきりします。
11:時間軸のノートをつける
ストレスから、うつ病や自律神経失調症になると、時間をつかさどる海馬の記憶力が低下することがあります。時間軸記憶の助けになるよう、年表や時間割、日記をつけてみてください。海馬が活性するだけでなく、抱えているストレスの原因を冷静に理解できるようにもなります。
定年をきっかけに認知症のリスクが高くなる理由のひとつに、組織を離れると、“感情を抑えなければいけない”という社会的な枠組みからはずれてしまうことが挙げられます。大脳辺縁系を上手にコントロールして、社会生活に参加し続けましょう。