なぜ母はいびきの改善に乗り出してくれたのでしょう?病院で診察を受けるメリットはあったのでしょうか。その理由を知るため、私は母に当時の心境を訪ねてみました。

睡眠時無呼吸症候群の診断を受けた母にインタビュー

ーー家族にいびきを指摘された時、どう感じましたか?

「いびきの音がおかしいよ」と言われて。まさか自分がいびきをかくわけがないと思っていました。嫌がらせとまでは言いませんが、大げさなのでは?と。いびきをかいているときは意識がありませんから、自分では本当に気がつけないんです。「睡眠時無呼吸症候群」のことは知っていましたが、自分がいびきをかいている自覚は全くありませんでした。

 子どもたちを学校へ送り出したあと、ひどく疲れて午後までソファーから動けなくなることはよくありました。あとから考えると、SASの「日中の倦怠感」に当てはまると思うんです。でも、「年のせいなのかな、ストレスのせいかも」と考えていました。気分の落ち込みや眠気があっても、睡眠とは全く結びつきませんでしたね。

ーー病院に行くことを決意した決め手は?

 正直に言ってしまうと、それまでは何度指摘されても聞き流していました。それがある日、「自分のいびきの音を聞いてみて」とiphoneを渡されたじゃないですか!

 そこではじめて、寝ている間に録音された自分のいびきを聞いたんですね。音源を聞くまでは半信半疑だったのですが、聞いてみてびっくり。とっさに「牛みたいな音だ!」と思いました。いびきのリズムも不規則だったし……。

 それだけだと「嫌味かな?」と思ってしまったと思うのですが、「SASって病気だったらどうするの?」と心配されて。録音でやっと自分を客観視できたということもあり、受診を決意しました。この出来事がなければ病院に行っていなかったと思うので、結果的に録音してもらえたのはよかったですね。

ーー病院での診察はどうでしたか?

 地元の総合病院に行くと、はじめに自宅で検査するための器具を渡されました。脈拍や呼吸をはかるもので、指の先にセンサーをつけたり、鼻にチューブを入れたりするんです。自宅での睡眠をはかったら器具を病院に返し、検査結果を一週間後にまた聞きに行くので、最低でも3回病院に行く必要があります。時間に余裕がある時期に検査するのがいいかもしれません。