海馬が萎縮すると認知症のリスクが高まる
「MRI画像によって前頭葉、後頭葉に萎縮がないかどうかを見るのと同時に、海馬の萎縮も確認します。記憶をつかさどる海馬が萎縮すると認知症になるリスクが高まるからです。
脳の萎縮の原因のひとつとなるのがアルコールの過剰摂取。今年2月に発表されたフランスの調査結果では、アルコール依存症の人は、そうでない人の3倍以上も認知症になりやすいことが判明しています。厚生労働省では、1週間あたりの飲酒量がビール6本(1本あたり350ミリリットル)以上だと、飲酒による認知症リスクが高まるとしています。
通常のアルツハイマー型の認知症が徐々に進行するのに対し、アルコール性認知症は初期症状が見られないまま、かなり症状が進んだ状態で突然、発症することが多いので、注意が必要です」(笹沼先生、以下同)
また、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病も認知症の原因となるので要注意だ。
「健康診断でも血液や肝機能などに異常が出始めるのは、やはり40代から。40年も生きていれば、どうしても生活習慣病など身体に不調が出てきます。脳も身体と同様なので40代で1度「脳年齢」脳ドックを受診することをおすすめします。
特に異常がなければ毎年受けなくても、3年、5年などに区切り、気になる症状が出たときに受診すればいいでしょう。過剰な検査、検診を批判する声もありますが、実際に早期にがんや動脈瘤を発見して助かった例が多くあります。すべての検診をやみくもに受けるのではなく、遺伝や自分の体質によって、気になるものを受ければいいと思います」
認知症にならないためには、生活習慣病の予防と、1日30分程度のウォーキングなど適度な運動が効果的だという。
厚生省は、2025年には65歳以上の約5人に1人が認知症と推計し、他人事ではいられない。人生100年時代に健康でいるためにも、自分の脳内を知っておくことは大切なことなのかもしれない。
(取材・文/小山内美貴子)
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《PRIFOLE》
笹沼 仁一(ささぬま・じんいち) ◎日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医。南東北医療クリニックや東京クリニックなど、各地の南東北グループ主要施設、関連施設の立ち上げを担う。2012年から新百合ヶ丘総合病院院長に。
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新百合ヶ丘総合病院/電話:044-322-9991(代表)