デビッド・ボウイに日本画材
ビッグアーティストとの仕事も数多い。デビッド・ボウイが来日したときに、額に日本のムーンを入れてほしい、とサチコさんに依頼がきた。
「帝国ホテルのロビーに、プラチナブロンドの髪に、真っ白いコートをひらひらさせながらデビッド・ボウイが現れたときは、“天使が現れた”と思ったぐらいきれいだったわよ(笑)。顔合わせですぐOKが出て、“リハーサルよろしくね”ってそれだけ。ああいう人たちは、フィーリングで仕事の相手を決めるのね」
日本的にという注文に、映画用の刺青のテクニックと、日本画の箔を使ってデビッド・ボウイの額にムーンを描いた。すると、彼は非常に喜び、後日、撮影のオファーがあったという。
三宅一生さん、山本寛斎さんが海外でショーを始めたときも、サチコさんはヘアメイクアップアーティストとして参加。世界を相手にともに戦った。
そんな現場でよく一緒に仕事をし、プライベートでも付き合いのあるスタイリストの高橋靖子さんは言う。
「海外での仕事では、外国人のスタッフとも組んでやっていかなくてはならないし、慣れない場所での仕事だから、困った状況のほうが多いんですよ。でも、サチコさんはそんなことをプレッシャーに感じないみたい。パシッパシッとリズミカルに対応していく。どんな大変な状況でも楽しんで仕事をしている感じでした。彼女は発想がフレッシュで、オリジナリティーがあったから、外国のスタッフにも評判は高かったですね」