2年前から若者に人気がある芸能人をCMに起用し始めたJRAの広報部にも話を聞いてみた。
「将来にわたって、競馬を安定的に運営していくためには競馬未経験層、特に若い世代の取り込みが重要と考え、メインターゲットを“若い競馬未経験層”に設定しました。
ターゲット層に共感してもらうため、松坂さんや土屋さんなどに競馬初心者の代表として登場していただくほか、まさに20歳になったばかりの葵さんと中川さんに“後輩”として加わっていただいたのです。おかげさまで、競馬場内ではCMのタレントさんたちのように、若い方々がグループで競馬を楽しんでいる姿を見ることが増えました」
運営側のプロモーション戦略が、イメージアップにつながっているということはわかったが、タレント側はなぜオファーを受けているのか。CM事情に詳しい広告代理店関係者が、その理由を教えてくれた。
ギャラ良し、イメージ向上。仕事を断る理由がない
「とにかく“ギャランティー”がいいんです! 田中圭さんでいうと、CMや大きなレースのプレゼンター、イベント出演などを合わせると年間で数千万円は支払われていると思います。人気タレントが公営ギャンブルのCMにどんどん出演するようになり、昔と比べ確実に参入のハードルは下がっています。今の時代、芸能事務所にとってはとても割のいい仕事なんですよ」
双方の利害が一致したことで、現在の状況ができあがったというわけだ。
実は、芸能プロダクション側が公営ギャンブル関連の仕事を増やしているのは、こんな理由もあるそう。
「1本で50万~100万円の高額な謝礼が支払われるパチンコ店のイベントは、今まで割のいい仕事でした。しかし、近年行われてきたパチンコやパチスロの規制強化により、“射幸心”をあおるなどの理由でイベントの事前告知が禁じられたのです。イベントを自粛する店が続出してしまい、芸能プロダクションへのオファーが減ってしまった。そこで、稼げる新たなフィールドとして、公営ギャンブルが注目されているんですよ」(同・広告代理店関係者)
むしろ、自ら売り込んでいる芸能プロも多いとか。
「この不況の中、高いギャラを払ってくれて、かつイメージアップしている公営ギャンブルの仕事を断るほうが古いという風潮みたいです。ある芸能プロダクションのマネージャーによると、JRAに対して売り込む事務所は多く、オファーが来たら断ることは少ないそうですよ」(同・広告代理店関係者)
新たに見つけだした金脈が“ギャンブル”にならないよう願うばかり!