なぜプランナーを代えたのか
2人が会場を仮予約したのは、本番約1年前の昨年6月15日のこと。
加奈子さんは、「この式場はドレスにこだわりがありセミオーダーできました。自分のサイズにぴったりと合わせてくれるんです」
一方の健斗さんも、「料理を試食しましたが、おいしくて。特に魚料理がおいしかったんです。飲み物もワインの担当者がいて、友達をもてなせると感じました」
2人で往復約4万円の交通費をかけ、仙台まで足しげく打ち合わせに通った。その頻度は挙式3か月前から週1になり、
「遠いけど、密に打ち合わせをしたいと思っていました。それも妻に喜んでほしいという気持ちがあったからです。そのときはまさに、夢を膨らませる時間でした」(健斗さん)
期待度が高いぶん、式場側の不手際が裏切りに感じられる。
気がかりが一点あった。通常“カップルが来館したときから挙式後のフォローまで”と言われるウエディングプランナーが途中、交代したのだ。
「今、式場と話し合いをしていますが、なぜプランナーを代えたのか聞きました。“普通は契約後、担当は同じなんですが、私たちは代えました”と言うんです。質問の答えになっていないんです」
と加奈子さんは、フォローできない式場にあきれ果てる。
披露宴で、新郎新婦がひな壇に着席した後、再び事前打ち合わせとは反対のことが行われた。祝電紹介だ。そもそも読み上げる時間を設けていないはずだった。加奈子さんの上司が気をきかせ、お祝いの言葉を届けてくれていたのだが、加奈子さんに手渡せばすむ。ところが、司会者が読み上げてしまったのだ。
出席していた新婦友人は、
「え? 終わり? という感じでした。周囲の人も、何、今の? という反応で、とりあえず拍手する感じでした」
と、当日の気まずい空気を伝える。健斗さんは、
「友人からは“1通しか電報来てねえじゃん”って、いじられたんですが……」
と寂しい心境を吐露する。
とはいえ、それ以外はつつがなく進行している、と新郎新婦は考えていた。後日出席者に聞くまでは。思わぬところで、事件は起きていたのだ。