怒りっぽい→三人称で自分を実況!
怒りっぽい人のことを「頭に血が上りやすい」と表現しますが、これ、実は脳科学的にも正解なんです。
怒りの感情は、脳の『大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)』から発生します。大脳辺縁系は、主に怒りや恐怖、不安などの「感情」を司る部位を含みます。人が怒っているとき、脳内では大脳辺縁系にバッと血流が集まって、その働きを促しているのです。怒りっぽい人、イライラしやすい人とは、「大脳辺縁系が活性化しやすい人」と言い換えてもいいかもしれません。
ミシガン州立大学のモーザーらが、怒りの感情の変化について研究を行いました。
被験者に嫌悪感を抱かせるような画像を見せた後、一方には、「いま“私”はどう感じているか?」と、一人称で自問自答してもらい、もう一方には、「いま“彼・彼女”はどう感じているか?」と、心の中で三人称で語ってもらいます。
そして、その際の脳波を測ってみると、大きな違いが見られました。一人称で語った場合よりも、三人称で語った人場合のほうが、感情に関わる脳の部位(大脳辺縁系)の活動が、急激に低下していたのです。
まさに怒っている真っ最中に、三人称で、あたかも他人の出来事のように自分を描写し語ってみるだけで、自身を客観視でき、怒りの感情を抑えることができたのです。
とはいえ、「絶賛怒り狂っているときに、論理的なことなんて考えられない!」という人も多いかもしれません。そんなときはまず、大きく深呼吸を!
ノースウェスタン大学のフィンケルらの研究によると、人間の怒りは10秒ほど我慢すれば、ある程度治まるとのこと。
イライラは脳の大脳辺縁系で起こり、大脳新皮質でそれを抑えるのですが、大脳新皮質が働き出すまで数秒かかります。深呼吸をして時間を置くと、大脳新皮質が活性化するまで待つことができるのです。