加齢以外の原因は“目のダメージ”
白内障の原因は、加齢以外に“目のダメージ”が影響している。目をよくかく、外仕事などで紫外線を浴びることが多い、目をケガした経験や糖尿病の持病があると、ダメージになり、“目の回復”のバランスを崩し、進行が早くなることもあるそう。
「患者さんのなかには、目をかいていません、という方もいますが、朝起きたとき、目がかゆいときなど無意識にかいたりしていることが多いんです。女性の場合は、アイメイクをオフするときに、目元をゴシゴシこすって洗っている方がいますが、ダメージになります。
また、疲れ目のときに、瞼(まぶた)の上から眼球を押す人がいますが、眼球心臓反射といって、不整脈や心停止を起こす要因にもなるので、気持ちいいと思っても絶対にやめてください。疲れ目には、温めたほうが効果的です」
自覚症状には、個人差がある一方で、特徴的なものもあるという。
「老眼は手元が見づらい、近視は遠くが見えづらく、手元は普通と、距離によって見え方が違います。白内障の場合は、遠くも手元も見えにくく、どの距離も見えづらい。患者さんで多いのは、お月さまが2個、3個に見えるという症状です。ぼやけるというよりは、いくつかに見える、にじんで見えるということを訴える方が目立ちます」
こういった自覚症状がある場合は、専門医でのチェックが必須だ。ただし、白内障と診断されても、すぐに手術する必要はない。
前出の矢藤さんは、目薬で治療をしていたが、数か月で仕事や日常生活に支障をきたすようになったため、医師と相談して手術を決断。片目ずつ2週間あけて行い、手術の際は2泊3日、入院した。
「40代、50代で白内障と診断された方は、高齢者と比べると進行が早いことが多い。例えば、目薬を使っていても、半年後には手術が必要になるケースがあります。
現代は、パソコンやスマートフォンなどで目を酷使する機会が多く、見えづらい状態が続くと仕事や生活の質が落ち、影響します。そのため、若くても手術する人が確実に増えています」