大腸がんが声高に語られなかったワケ
「番組制作をしている最中に知ったのですが、私たちディレクター2人も、担当のプロデューサーも、大腸がんを患った家族がいたんです。これまで『ガッテン!』のスタッフ同士でいろんな病気について話し合ってきましたが、大腸がんの話はしたことがなかった。昨今、乳がんや子宮頸(けい)がんについては話す機会が増えていますが、大腸がんについては、まだ“下(シモ)の話”というイメージがあるのかもしれないですね。
それに、乳がんは初期症状が“胸にしこり!”、肺がんは検査結果が“肺に影!”。でも、大腸がんの検査結果は“ウンチに血”……。この脱力感が、大ごとに思えない原因なのかもしれないとも思いました」(小澤デスク)
ディレクター2人の「身近な問題だからこそ、でも、まだ正しく伝わっていないことだからこそ、『ガッテン!』で取り上げる意義がある!」という確信と、「このことを知ってもらうことで、大腸がんで亡くなる人を1人でも減らしたい!」という熱い思い。それが結実したのが、話題となったこの放送回だったようです。
また、『ガッテン!』制作陣の思いは、それだけで終わりではありません。『ガッテン!』だけでなく、女性の死亡数1位の『大腸がん』のことをひとりでも多くの女性にもっと知ってもらって、口コミでも情報を広げてほしい、という願いから、2020年2月20日(木)放送の『あさイチ』(NHK総合8:15~)でも、大腸がんの特集を予定しています。
「女性が精密検査に行かないもうひとつの大きな理由として、大腸内視鏡検査が恥ずかしい、ということもあると思います。取材でお話をうかがうと、《検査の際、お尻を丸出しにしてジロジロ診察される》というイメージを持った人は多かったですね。
『ガッテン!』の放送でも紹介しましたが、女性視聴者の多い『あさイチ』の放送でも、検査用のパンツがあるのでお尻は丸出しにならないことや、意外と恥ずかしくないことを知ってもらいたいです」(田村ディレクター)
実は、日本の大腸内視鏡検査の技術は、海外の医師が視察にくるほど優れているのだそう。しかし一般的には、その恩恵について知られていないことが多々あるそうです。
「私も、内視鏡検査には“怖い”というイメージがあったんです。今回のキャンペーンを通じた放送では、下剤には梅味のものもあって味も進化していることなど、検査自体に興味を持ってもらえそうなことを意識してご紹介しました。これまであまり知られてこなかった検査内容を詳しく紹介することで、みなさんの恐怖心を払拭(ふっしょく)できるとうれしいですね」(小澤デスク)
日本人の2人に1人ががんにかかる時代、「大腸がんで死なない秘策」は、大腸がんについて無用に怖がらず、正しい情報を知ることにかかっているようです。
〜大腸がん検診に関する詳しい情報は、下記のURLでもご確認いただけます〜
◎NHK『ガッテン!』ホームページ内
「実は女性の死亡数1位! 大腸がんで死なない秘策」(2020年1月29日放送分)http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20200129/index.html
◎NHK『あさイチ』
http://www1.nhk.or.jp/asaichi/
◎NHK「健康チャンネル」
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_132.html
◎隔月刊雑誌『NHKガッテン!』
https://www.shufu.co.jp/magazine/gatten/
※発売中のガッテン雑誌(2020年3−4月号)に掲載されている記事〈担当プロデューサーに聞く「ここだけの話」・特別編〉のページでも、今回の大腸がん放送回について番組統括プロデューサーに取材。イラスト図解で、“大腸がんと痔の血便では、血の混ざり方が違う”ということを紹介しています
◎『ガッテン!』「86万人の自宅に届く!乳がんで死なないための切り札をあなたへ」番組情報(2018年9月5日放送分)
https://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20180905/index.html