「ボケない」食べ方のコツ
身体や心のあらゆる活動をつかさどる脳の働きが低下する認知症。新型栄養失調が、その発症要因となる可能性も見逃せない!
認知症には複数の種類があるが、中でも最も多いのは脳の一部が萎縮して起こる「アルツハイマー型認知症」で、全体の約7割。次に多いのが、脳出血や脳梗塞などの原因により脳組織が死滅して起こる「脳血管性認知症」で、全体の約2割を占めている。発症は遺伝的な要因もあるものの、食生活などの生活習慣がその発症に影響を及ぼすと言われている。
「遺伝的要素以外で、認知症の大きな要因となるのは、やはり老化。完全に止めることはできませんが、毎日の食事で老化を促す“活性酸素”の発生を抑えることは可能です。赤ワインに含まれるポリフェノールや抗酸化ビタミンと呼ばれるビタミンA・C・Eなど、抗酸化物質を多く含む食品が有効でしょう」(東京慈恵会医科大学付属病院栄養部係長の赤石定典さん・以下同)
抗酸化物質だけでなく、葉酸にも活性酸素の発生を抑えて脳の萎縮を防ぐ働きがあると言われており、認知症予防のために積極的にとりたい栄養素のひとつ。サプリメントでとるイメージが強いが、身近な野菜では豆苗に多く含まれる。これなら家計にも優しくて、毎日の食卓にも取り入れやすい。
また青魚に多く含まれる必須脂肪酸のEPAやDHAは、その摂取量が多いほど認知症の発症率が少ないともいうデータも。缶詰などを活用して習慣的な摂取を心がけたい。
【おすすめ食材はコレ!】
◎青魚……刺身や缶詰で効率よくEPA・DHAを!
EPA・DHAは熱に弱いため、効率的にとるなら刺身が正解。水煮缶もおすすめで、缶汁ごと食べるのがポイント。焼き魚でも焦げないように注意すればEPA・DHAを8割程度摂取できるが、フライにするとその量は半減してしまう。
◎赤ワイン/1日1〜2杯を楽しんで
赤ワインは抗酸化作用のあるポリフェノールのうち、活性酸素の発生を抑えて老化を防ぐ作用が期待できるタンニンが豊富で、認知症予防にもおすすめ。とはいえ飲みすぎはかえって身体に毒。適量はグラス1〜2杯と心得ておこう。
◎豆苗/汁ごととると葉酸の摂取率がグンとUP
認知症予防に効果的な葉酸が豊富な豆苗。葉酸は水溶性ビタミンのため、ゆでてから調理するとその含有量が大幅減。そのまま生で調理するか、スープにして汁ごと食べると、効率的に葉酸を摂取することができる。
【脳のアンチエイジングのための3つの習慣】
1.しっかり噛んで脳を活性化
しっかり咀嚼すると脳の血流が増え、認知機能の維持につながる。意識してもついつい飲み込んでしまう場合は、玄米やナッツなど、噛まないと飲み込めない食材を選ぶのも手といえる。
2.野菜や果物の皮こそ栄養の宝庫
りんごの皮のポリフェノールのように、野菜や果物の皮には健康効果の高い栄養が豊富。また皮ごと食べることで必然的に咀嚼の回数を増やせて、認知症予防につながる。
3.調理することも認知症予防に
「調理というのはとても頭を使う行為なので、認知症予防にはとってもおすすめ」と赤石先生。毎日のごはん作りは大変だけど、ボケにくくなると思えば、頑張れそう!