悩み2.トイレが間に合わない…尿漏れ

 頻尿よりも深刻な悩みとなりがちなのが尿漏れ。衣類を汚してしまうのが怖くて外出を控えたり、においが相手に伝わらないかと常に不安だったり。日常生活の質を大きく下げてしまう症状だ。尿漏れの主なタイプとしては、まず“腹圧性尿失禁”がある。

「大笑いや咳をしたとき、重い荷物を持ったときなど、腹圧がかかると漏れてしまうタイプ。成人女性の3~5人に1人が悩んでいるとされています」

 その大きな原因が、妊娠・出産。妊娠中は大きな子宮を支えるために骨盤底筋に多大な負荷がかかり、出産時には骨盤底筋や靱帯が必ず損傷してしまう。

「出産前後に尿漏れを起こす人は少なくありません。けれども9割以上は出産後1年以内に治る。1年たっても尿漏れがあるなら、重い“骨盤底障害”である可能性が高いです」

 1年以内に尿漏れが治っても、更年期前後で、潜在していた骨盤底障害が顕在化し、再び尿漏れが起こることが多い。

 さらに深刻なのが“切迫性尿失禁”タイプだ。突然、強い尿意が起こり、あわててトイレに駆け込んだが、下着を下ろす前に尿が漏れてしまう、というような人がそれ。主な原因は、頻尿でも説明をした“過活動膀胱”で、過活動膀胱の人の約6割が切迫性尿失禁をともなっている。

「元凶は下支えする骨盤底筋の衰え。膀胱が不安定になり、尿をもらしてしまいます」

 前述した骨盤底筋トレーニングに加え、ピフィラティスという体操も積極的に行うことで、改善が見込める。

「膀胱炎や膀胱結石、膀胱がんなどの病気がある場合も、尿意切迫感が起こりやすくなります。この場合は、原因となる病気の治療が必須です」

「骨盤底筋トレーニングを正しく行えば、約7割の方の頻尿・尿漏れが改善します。でも、うまくできないという方や、切迫性尿失禁などの重い症状の方におすすめしているのがピフィラティスです

 これは骨盤底筋に加えて、その周辺の筋肉も鍛えることができるエクササイズ。身体をリズミカルに上下するパルス運動という動きを取り入れることで、従来の骨盤底筋エクササイズよりも35・7%も筋肉の収縮がアップ!

 1日5~10分行うことで、過活動膀胱の人の約80%が、手術が必要とされた重度の腹圧性失禁の人の約70%が、大幅に症状が改善したというデータもある。