乗り換えが増えると感染リスクがアップ
帰省当日に気になるのは移動手段だ。
「何時間も同じ電車や飛行機に乗ったり、地下鉄やバスなどの乗り換えが頻繁にあると、当然ながら感染リスクは高まります。とはいえ、日本の公共交通機関からクラスターの報告はなく、危惧(きぐ)するほどのリスクではありません」
感染リスクを少しでも抑えたいなら、換気ができる自動車移動がおすすめだが、そもそもマイカーがない人は……。
「公共交通機関を使うなら、いろんなところをベタベタ触らず、ソーシャルディスタンスをできるだけとる。おしゃべりは控えるように、お互いに気をつけてください」
同じ電車に20分以上乗るのであれば、下車したときに手洗いをすることを徹底。公共の洗面所が不衛生な場合は、携帯できる除菌スプレーやウエットティッシュを持参しておくと困らない。常に柔軟に対応できるように準備することが大事。
帰省先の対策本部は? 連絡先をメモしておく
帰省先に到着したらすぐ、入浴するべきとよく耳にするが、本当か?
「コートや上着を玄関で脱いで、ウイルスを室内に持ち込まなければ十分です。入浴までする必要はありません」
ただし、帰省先の親や祖父母を安心させるという意味では帰宅直後の入浴は有効。食事については、
「お正月は大皿料理が多くなりがちですが、1人分ずつ取り分けた状態で配膳すると安心。おせちも同様です」
また、感染予防に欠かせない部屋の換気。寒いとつい怠りがちだが、3~4時間に1度のペースで行うと効果あり。
万が一、帰省先で体調が悪くなったらどう対処すべきか。
「自宅が近くの場合は、症状が軽いうちに帰る判断をするのも一案。すでに熱が出てしまった場合は、帰省先の自治体の相談窓口に連絡してください」
今のうちに帰省先のコロナウイルス対策本部や相談窓口を事前に確認しておき、万全の態勢で帰省の日を迎えよう。
(取材・文/飯田帆乃香)
《PROFILE》
林 功 ◎「林医院」院長。厚生労働省指定の診療・検査医療機関として発熱患者の診療・検査を行う。宿泊療養施設、PCR検査センターにおいても新型コロナウイルス感染症の診療に従事。