依存に気づけずに家族でスマホゾンビ
前出の松崎医師が危惧するのは親でも子どもの依存状態を発見できないケースだ。
「ゲーム好きな親で子どもが長時間スマホでゲームをしていても関心がない。そうしたケースも増えていくでしょう」
中高年も他人事ではない。今後は家族でスマホゾンビになんてことも……。
40代、50代のスマホ保有率はこの10年で急激に増え、ほぼ100%。その約50%がSNSも利用している。今から使いこんでいれば、次の10年後、依存状態に陥っている中高年が増えているかもしれない。
ハマりやすいコンテンツはゲームが圧倒的。それに続くのが中高年になじみのあるSNSや動画配信なのだ。
「オンラインゲームやSNSは、いつでも誰かとつながれます。現実社会で人から褒められることはあまりないですが、ネットの世界では反応してくれます。評価されたい欲求をスマホは気軽に満たしてくれる。だから手放せない」
だが、睡眠障害や倦怠感、うつ状態になり、身体に不調をきたして日常生活が送れなくなっても誰もスマホの使いすぎだとは思わない。
「依存状態にある中高年を診察することはほとんどありません。ですが潜在的には、もっといるかもしれません」
子どものことは親が気づけても、大人は自分で気づくしかない。隠れスマホゾンビは実は少なくないかもしれない。
松崎医師も心当たりがあった。
「海外ドラマにハマり、止まらなくなって“これが依存か”と思いました。こうした経験がある人は多いと思います」
すべての人が依存状態になるわけではない。
「私の場合、仕事が忙しくて“このまま見続けていたらまずい”と思えたことも歯止めになりました。大人は“仕事や家事をしないといけない”との理性が働けば、依存状態は防げるかもしれない」
冒頭の英明さんはコロナ禍の外出自粛で時間を持て余し、スマホでのゲームや動画にハマったことで依存状態になった。
緊急事態宣言は解除されたが、スマホを使いすぎる習慣が残っていれば危険だ。