年を重ねれば誰もがリスクを抱える認知症。その予防策として注目を集めるのが、東洋医学で使われる“ツボ”です。そこで、中国医学に精通する鍼灸の専門家が、手軽で効果てきめんの「脳活ツボ」を伝授。さっそく今日から始めましょう。
コロナの自粛生活が認知機能にも悪影響
人の名前がなかなか出てこない。うっかりミスが増えた。40歳過ぎると、が然、こんな声が増えてきます。そこで心配になるのが認知症の危険。鍼灸師の舘野立人先生によれば認知機能を低下させる原因は身近なところにあるそう。
「東洋医学で身体をつくる要素は、気、血、津液の3つ。脳を動かす力は気、酸素や栄養を運ぶのは血、脳や髄を滋潤するのは津液(リンパ液など体内の水分)で、どれも重要な物質です。
体内の巡りが悪くなると、当然、脳への循環不良が起こりやすくなります。加齢も大きな原因ですが、運動不足、睡眠不足、食事、ストレスなど、生活習慣も大きく関係してきます」(舘野先生・以下同)
特に、コロナ禍での自粛生活は、脳の働きを鈍化させる要素がいっぱいとのこと。
「ステイホームで活動量が減ると、筋力が低下して血流やリンパの停滞を招きます。さらにパソコンやスマホによる姿勢の崩れは、脳につながる脊柱や頸部の滞りを招くことに。その影響で、若い世代にも頭痛や頭の重だるさを訴える人は増加しているんです」
「脳活ツボ」で脳の血流が改善する
脳は、認知機能だけでなく、運動機能や自律神経の調整などを行う重要な司令塔。しっかり活性化させたいですね!
そこでオススメなのが「脳活ツボ」。実際にどんな効果があるのでしょうか。
「鍼灸治療の研究が進む中国では、認知症患者に対して鍼治療を行い、認知機能や生活能力の改善効果が認められることが実証されています。セルフケアでのツボ刺激も、脳の血流促進や活性化を促しますから、続けることで認知症のリスクを軽減する一助となるでしょう」
今回、舘野先生に紹介していただく「脳活ツボ」にはこんな特徴があるそう。
「脳に効くツボは、全身に存在しますが、この脳活ツボ刺激は、手、腕、頭部の、自分で押せるツボだけで効かせるのが特徴です。テレビを見ながら、リモートワークの合間など、気がついたときにこまめに行ってください」
頭がスッキリし、イライラ解消、目の疲れ予防にもなるので、さっそくトライ!
ツボって何?
東洋医学には“経絡”という概念があります。経絡は、気、血、津液が通る線路のようなもので、ツボは線路の要所にある駅です。冷え、ストレス、加齢などで経絡の巡りが滞ると、それが不調の原因になり、脳に運ばれる気血も滞ります。ツボ刺激で経絡の渋滞を取り除き、巡りを健やかにしましょう。