再雇用でしかたなく働いてはいけない!
定年退職後、「再雇用」を選択し、新たに雇用契約を結び継続して働く人は多い。転職などより一見ラクに見えるが、「再雇用はやめたほうがいい」と大江さんは助言する。
「私も一度は再雇用を選びましたが、半年で辞めました。なぜか。正直つまらなかったからです。仕事は責任と権限が大きいほどやりがいを感じます。しかし再雇用の場合、基本的に役職からはずれ、責任と権限の範囲が大幅に縮小するため、やりがいを奪われ楽しくないわけです」
では、どうすればいい?
「定年後は現役時代のようにがつがつ稼ぐ必要はなくなります。アルバイトをするのも選択のひとつで、夫婦でやれば月収20万円程度は難しくないはずです。いざとなったら年金を早く受給してもいい。ですから、会社に残って嫌々働く必要はないでしょう」
50代からの人脈が老後の仕事につながる
定年後も稼ぎたい人は思い切って独立する道もあり。
「私がそうです。講演や執筆などを仕事とし、得た収入で生活しています。年金は70歳からもらう予定ですよ」
ただし、大江さんのようなスタイルを望む場合は、相応の心がけが必要になるそう。
「50代になったら、会社の人とばかり付き合うのはやめる。つまり職場以外の人と交流を持つようにすべきです。というのも、私は50代初めに会社の出世コースからはずれ時間ができたのを機に、会社の外に目を向けました。社外の交流を広げたのです。そこで培った人脈が独立してからの仕事にすごく役立っています。貯金もいいですが、老後生活に活きるのは“貯人”。ご主人にぜひお伝えください」
■50代になったら貯金より貯人!
・会社の飲み会ばかりに行かない
・他業種の人とも交流する
・趣味の集まりに参加してみる
お話を伺ったのは
大江英樹さん 経済コラムニスト。オフィス・リベルタス代表。大手証券会社で個人資産運用業務や企業年金制度のコンサルティングなどに従事。講演・執筆活動を行っている。近著に『定年前、しなくていい5つのこと』(光文社)
《取材・文/百瀬康司》