焦る気持ちとは裏腹に、仕事の幅は狭くなっていく。
「サスペンスのチョイ役でもいいからってお願いすると“清水さんは目立ちすぎて犯人だとすぐバレて使えない”と断られる。そういうことが重なって再び追い込まれ、2度目の自殺未遂をしてしまいました」
2019年は3度目の自殺未遂だったことになる。睡眠薬を飲んで意識が薄れる中、清水の目に映ったのは愛犬の姿だった。アイフルのCMが終了してから、清水と犬との関係は深まっていたのだ。
「最多で犬を13匹、猫を3匹飼っていました。もともと犬が大好きだったんですよ。私は日大鶴ヶ丘高校から学部付属の農獣医学部に進みました。でも、獣医になるための研修で、犬を殺さなければいけないのがつらくて大学を中退したんです」
「ポエチは死ぬな!」
チワワと共演したCMでブレイクしたのも、犬が好きだったことが招き寄せた運命だったのかもしれない。
「特に可愛がっていたのがポメラニアンのポエムちゃん。“ポエチ”って呼んでいます。ペットショップで売れ残っていたようで、相場が15万円ほどなのに『特売』で5万円でした。買うことを告げると、店員さんがエンエン泣きだしたのでビックリ。聞くと、その日に売れなかったら処分されるところだったそうです。ギリギリのところで命を救えた。ポエチとは運命的な出会いだったんですよ」
清水が睡眠薬を飲んで横たわると、それまで吠えたことのなかったポエチが白目をむいて大騒ぎした。
「あの世までついてくるのかと思い、“ポエチは死ぬな!”と叫びました。3日間たって意識が戻ったとき、ポエチが目の前にパッと現れてから消えたんです。私が息を吹き返したのを見届けるように。それで私は救われたんです」
しかし、清水は今、ポエチに会うことができない。
「15歳なので、先は長くないと思います。元奥さんの家に行って“ひと目でいいから会わせて”と頼むも“出てけ!”と追い返されて……」
清水は現在、アパートでひとり暮らし。財産も失い、生活保護に頼っている。
「ずっとお小遣いをもらえなくなっていましたから。イベントのギャラをもらえなかったり、ファンミーティングのお金を主催者に持ち逃げされたりしたことも。一昨年は駅の観光センターでバイトしていました。レジ打ちが遅いって、中年の女性店員さんに怒られながら。ビル掃除やポスティングのバイトもしましたよ。車が好きで何十台と乗り継いできましたが、衰えを感じたこともあって運転免許を返納し、車とは縁を切りました」