地域の仕事に注目、人生経験も生かせる
ここで知りたいのは、どんな仕事がオーバー60世代に向いているのか。それをどうやって探せばよいかというアドバイスだ。
「まず、お住まいの地域に目を向けてみてください。そのメリットは、1つは通勤がラクなこと。満員電車は体力的にきつくなってきますからね。また、地域には、人生経験を積んだシニアが求められている、さまざまな職場があります」
例えば、保育や介護・福祉・医療施設など。資格を問わない補助職の求人も多いうえ、専業主婦だった人も、家事や育児、介護などの経験を生かせる。
「その地域の仕事をどうやって探すかですが、地域の情報は地域にあります。お店に張ってある求人広告も立派な情報。なじみのある商店街に、働いてみたいと思えるすてきなお店がオープンするかもしれません」
また、意外に有用だと、松本さんがすすめるのが口コミ。友人知人に、こんな仕事がしたい、こんなふうに働きたいと、ふだんから話しておくのもいい。求人側も人づてに人を探すことも多いので、口コミと口コミがマッチして、よいご縁につながることも多いという。
●こまやかな気配りも熟年女性の強み
松本さんは仕事柄、求人側の要望を聞く機会も多い。その際によく話に聞くのは、店頭販売や飲食などの接客でも、熟年女性は頼りにされているということだ。
「例えば、ベビーカーの扱いに困っているお母さんを助けたり、高齢の方に椅子をすすめたり。こまやかな気遣いが評価されるんです」
人生経験を生かせる職種としてはカウンセラーなどの相談業務も向いているとか。もちろん、人それぞれの資格や経験、趣味や興味を生かせることを条件に探すのも、満足度の高い選択になるだろう。
「すでに勤めている人が新しいことに挑戦するなら、定年まで待たず、50代で転職するのもおすすめ。50代のうちなら、求人の選択肢も多いからです。子育てや会社のしがらみがなくなるシニア世代は、実は挑戦を楽しめる世代でもあるんですよ」
力強いエールをいただいたが、さて、あなたの選択やいかに? 最後に、楽しく働き続ける秘訣を聞いた。
「若いときと違うのは、体力の問題。健康を害さないように無理をしないことです。また、年下の同僚に先輩風を吹かすのは禁物。謙虚でいることも大切ですね」
◆オーバー60で働くために必要なこと
・必要な支出と年金支給額を確認し、老後の収支をシミュレーションしてみる。
・自分が働く目的を、じっくり考えておく。
・地域の仕事、人生経験を生かせる仕事に注目してみる。
・いくつになっても謙虚さを忘れない。