“ひとり”に負けず前向きになれる習慣10(その2)
【6】つきまとう老気を一掃! おしゃれを楽しむ
「ふさぎ込んだ気分は外見も内面も老け込ませ、老気が全身に漂いはじめます」と石川先生。
「色気はいくつになっても多少は身につけておきたいですが、老気は全力で振り払うに限る。おしゃれをするのは、有効な手段のひとつです。お気に入りの服を身にまとえば、背筋が伸び、表情にも華やぎが。現実が悲観的なことに満ちていても、ひととき気持ちが明るくなる。それを繰り返していけば、次第に心も同調して明るくなるはずです」(石川先生)
【7】褒められれば気分もアップ習い事を始める
年をとると、人に何かを教えてもらう機会は激減する。あえて新しいことにチャレンジし、習い事を始めてみては。次第にできるようになる喜びは、新鮮な達成感を与えてくれる。
「先生に褒められると、気持ちはぐっと前向きになります。年齢を重ねると、老いを感じて自分を減点することはあっても、誰かに褒められて加点されることは少ない。褒められるのは心の栄養になります」(古山さん)
【8】自分に価値を感じないときはコレマンガを最新刊から読む
うまくいっている人と自分を比べて「あの人は最初から才能があった」と落ち込むときは、マンガを最新刊からさかのぼって読むのがおすすめ。20巻まで出ているなら、20巻→19巻→18巻と読むのだ。
「今活躍している主人公も紆余曲折を経験し、スタート時点では弱小だったと気づくはず。現状だけを注視するのではなく、将来どうなりたいか、そのために何をすべきか、と未来を見据えた思考ができるようになるはず」(古山さん)
【9】認知症予防にも効果絶大一読十笑百吸千字万歩
孤独を感じるときはあらゆることが停滞している状態。1日の中で、一読(1日に1回はまとまった文章を読む)、十笑(1日10回は笑う)、百吸(1日100回深呼吸をする)、千字(千字くらいの文字を書く)、万歩(1万歩を目標に歩く)を心がけてみて。
「頭、心、身体をバランスよく使うことができ、気持ちの切り替えに効果的です」(石川先生)
【10】楽しくなくても笑って笑いのネタをストックする
気持ちがふさぎ込んでいると間違いなく笑顔がない。そんなときは、内心がどうあろうとも笑ってみて。
「笑っていると、人が集まってきます。そこで、楽しい話をして相手を笑わせることができれば、その笑顔を見て自分も明るい気持ちになれます」と石川先生。お笑いのネタや、面白い話はストックしておくといい。また机に鏡を置くのも効果的。
「鏡を見て、意識的に笑顔をつくってください。自分は明るい人間なのだと無意識にすり込まれていきます」(古山さん)
●今日からやめよう! マイナス感情を生みやすいNG習慣
・同じことを繰り返す日常生活
例えば会社と家の往復ばかりの生活など、変化のない生活は充実感がなくなり、「このままでいいのか」と不安や孤独を生みやすくなる。寄り道をしたり、習い事に行ったり、気持ちがドキドキワクワクするような工夫を。
・使う言葉に気をつける
言葉には言霊が宿っていてその言葉を耳にしたり、口にすると言霊の力に引っ張られてしまう。「無理」「年齢がね」「疲れた」といったマイナスな言葉を使っていると、新しいことを遮断・拒絶する人になってしまい、変化のない、停滞した生活を送ることに。
・「安いから買う」をやめる
欲しいから買うのではなく、安いから買う、高いから買わない。これが習慣化すると、自分自身も安く、価値の低い人間だと錯覚しがち。自己肯定感が下がり、孤独を感じやすくなる。習い事やおしゃれなどの自己投資にも、抵抗感が生まれてしまうことに。
・自分と他人を比較する
自分よりも幸せそうな人を見つけて、自分に欠けているものに注目すれば、いつまでたっても満たされることはない。SNSで充実している人をうらやむのも同じ。日常の中に幸せを見つけられるか否かで、人生は明るくも暗くもなる。
メンタルトレーナー。自身が精神を病んだ経験から、独自のメンタルメソッドを確立。SNSでは約10万人のフォロワーに支持され、多くの相談に乗っている。『「孤独ちゃん」と仲良くする方法』(大和出版)など著書多数。
教えてくれたのは……石川恭三先生
医学博士、臨床循環器病学の権威。杏林大学医学部内科学名誉教授。多くの患者と接してきた中で感じた高齢者の悩み、孤独、認知症予防などについて多数著書あり。『老いのトリセツ』(河出書房新社)など。
〈取材・文/樫野早苗〉