羽田空港

 日本の空の玄関口として、国内外から日々多くの人が訪れる羽田空港。スカイトラックス社が発表した2020年「世界で最も清潔な空港」で第1位に選ばれたように、たくさんの清掃員が“おもてなしの心”で隅々まで磨き上げた施設内は綺麗で快適だ。

 そんな羽田空港には第1ターミナルに12箇所、第2ターミナルに18箇所、第3ターミナルに22箇所もの喫煙所を設置している。例に漏れず喫煙所内も定期的に清掃が行われており、清潔さが保たれていた。

やはりお客様の中には副流煙を気にされる方もいらっしゃいますが、国籍、年齢、性別問わず様々な方が訪れるので、ターミナル内を完全禁煙にすることはできません。そのため双方が快適に過ごせるよう、煙が外に漏れにくい“二重扉”にしたり、ガラスに特殊加工を施して視線を遮ったりと工夫しています」(羽田空港広報ブランド戦略室)

 感染対策も万全で入り口には消毒液が置かれ、扉には「喫煙スペースをご利用になる皆様へ 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため」と題した注意書きも貼られている。対策の一環として閉鎖されている場所もあるが、密になる様子もなく、利用者自ら距離を取りながら憩いの場を快適に保とうとしている姿が印象的だった。

アルコール消毒なども設置
アルコール消毒なども設置

東京ミッドタウン

 東京の中心にありながら、緑豊かな自然を感じられるミッドタウン・ガーデン。芝生広場の上にはドイツ出身のアーティスト、フロリアン・クラールが手がけた複雑な形状のオブジェ『フラグメントNo.5』が立っている。

東京ミッドタウンの喫煙所
東京ミッドタウンの喫煙所

 そんな景色を眺めながら、非日常を感じられるのが東京ミッドタウンの2階に設置された喫煙所だ。デザインに配慮しながらも、機能面にこだわって設計されており、オフィスワーカーや商業施設利用者の憩いの場となっている。

「​​東京ミッドタウンは、“JAPAN VALUE(新しい日本の価値・感性・才能)”を創造・結集し、世界に発信し続ける街をコンセプトに誕生しており、若手の才能を発掘し、応援することをミッションの1つとしています

 今回のデザインにも若手を採用。彼らのセンスを最大限活かす様にサポートしました」

 デザインに“庭屋一如(ていおくいちにょ)”という自然環境と室内環境は一つのままであるという日本庭園の考え方を採用。まるで外構の緑地風景を切り取ったような空間では、緑の写り込みとほどよい揺らぎが表現されている。鉄そのものの質感を引き立てる黒皮鉄(酸化被膜鉄)を採用したルーバー天井や、水盤が揺らぐ黒漆のような光沢と左官による鏝むらをあえて残したモールテックス床など、ひとつひとつの素材にこだわった。

 また、空調ダクトの吹き出し位置を入り口近くに設置することでエアーカーテン効果を実現。扉の両サイドにはスリットを切り、喫煙室外から内部への気流を発生させることで、喫煙室内外の煙の流出を抑制させている。

 喫煙所の改修を検討していく中で、受動喫煙による健康被害についても考慮し、非喫煙者・喫煙者どちらも満足できる心地よくスタイリッシュな空間を提供するため、作られたこの場所。

 機能面でもこだわった結果、改修前と比較すると外気導入量(フレッシュエアー)が1.5倍に。2018年に改定された健康増進法の「入り口気流速度」および「浮遊粉塵量規定値」もクリアしており、推奨される入り口から室内への風速0.2m/sも確保していることも実測で確認しているという。

閉塞感のある喫煙所が多い中、外部空間にいるような解放感があり居心地のいい喫煙所になったと感じています。お客様からも『広くて開放的』『混雑していないので利用しやすい』といった嬉しい声も届きました。室外からの見た目も上質かつ、空間イメージを阻害しない。このような場所があれば、非喫煙者から印象も良くなるのではないでしょうか