危険ではない化粧品も使い方でアウトに!
夏の日焼け後のケア、秋からの乾燥肌のケアの定番になっている美容法の1つが、青い缶がトレードマークの、おなじみのクリームを顔に厚く塗り、パックした後で洗い流す美容法だ。高価なパックより効果的で肌がつやつやになると話題だが……。
「意味不明です。そもそもニ●アクリームは保湿クリーム。適量を肌に塗ればよい」(上原先生)
保湿に必要なものは水だけではなく、それを肌にとどめる作用のあるセラミドやペプチド。保湿したあとに油でふたをする役割だ。油だけを顔に大量に塗りたくり、洗い流しても何の効果もない。
「逆に皮脂詰まりで肌の状態は悪化。ニ●アそのものに問題はありません。ただ、みなさんはニ●アに安全なイメージを持っていますが、原材料は石油。とはいえ危険なものではなく、精製された石油はミネラルオイルとしてベビーオイルの原料にもなっています。精製された石油の液状のものがミネラルオイル、半固形状のものをワセリンといって、ニ●アはその2つをバランスよく配合した製品。石油由来だから不安、自然由来だから安心というのは、単なる自然信仰です」(上原先生)
むしろ植物性の自然由来化粧品は成分が安定しない。精製されない成分でアレルギーを起こす可能性もある。
「冷静になって、小学生レベルの理科の知識でもわかるよってことは、美容上で結構あるんです。みなさん落ち着いてと言いたい」(上原先生)
同じく郡司さんもこう語る。
「“天然成分だから安全”というのは完全な迷信。ロドデノールも植物由来の天然成分ですが、合成界面活性剤によって肌バリアを突破して皮膚に浸透した結果、白斑被害を生んだ。化粧品は食べ物じゃないから大丈夫、そういった認識を変えることが必要です。口から食べたものは肝臓で解毒されますが、マスカラや口紅などで粘膜から吸収された経皮毒は肝臓で解毒されませんから!」
安易な自己判断で最新の美容法や化粧品に飛びつく前に、まずは冷静になろう。
【これが使ってはいけない危険成分!】
主な用途/成分名/使われている商品
●合成界面活性剤/アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル/日焼け止め、ハンドクリーム、シャンプー、ボディソープ
●乳化剤・粘化剤/ジエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸TEA液/クリーム、シャンプー、コンディショナー
●溶剤、pH調整剤、乳化剤/トリエタノールアミン/シャンプー、メイク落とし、アイライナー、手指消毒剤
●殺菌剤・防カビ剤/イソプロピルメチルフェノール/ニキビ用化粧品・洗顔料、ボディソープ
●感触改良、耐水/ジメチコンクロスポリマー/ファンデーション、化粧下地、日焼け止め、口紅、リップグロス、マスカラ
●保潤剤・保湿剤/ポリエチレングリコール、ステアリン酸PEG-3・5グリセリル/ローション、日焼け止め、シャンプー
●合成着色剤/タール色素(色+数字)※顔料より染料が危険/口紅、アイシャドー、チーク、ティント
●収斂剤・制汗剤/クロルヒドロキシアルミニウム/制汗剤、デオドラント製品、ルースパウダー、ファンデーション
●紫外線吸収剤/アボベンゾン、オキシベンゾン、オクトクリレン、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸/日焼け止め、乳液、ファンデーション
●白色顔料・紫外線遮蔽剤/ナノ酸化チタン/日焼け止め、ファンデーション
【謎の美容ライターMが告発! あのコスメはダメよ〜3選!】
ネット広告でよく見る「角栓ニュル!」、「シミがポロッ!」、「白髪が消えた!」の3つは気をつけて!! 角栓を無理に出したら毛穴が開きっぱなしになって、さらに毛穴が目立つの。シミは色素沈着、紙にインクを落としたような状態。ポロッと取れるとか、ほくろかイボと勘違いしているんじゃない? 白髪をなくす方法なんて、開発されたらノーベル賞ものって言われているんだよ。どれも過剰なあおりで、あ〜ホントにイラつく!
教えてくれたのは
郡司和夫さん……東京生まれ。法政大学卒業。フリージャーナリスト。身近な生活用品の安全、環境汚染を中心に執筆活動を続ける。主な著書に『これを食べてはいけない』(三笠書房)、『生活用品の危険度調べました』(三才ブックス)ほか著書多数。
野田真史先生……皮膚科専門医。東京大学大学院医学系研究科卒業(医学博士)。ニューヨーク州医師免許を取得し、2014年からニューヨークのロックフェラー大学皮膚科で診療、研究。2016年東京大学医学部附属病院皮膚科助教。All About「皮膚の健康」ガイド、池袋駅前のだ皮膚科院長(https://tokyoderm.com)。
上原恵理先生……美容外科医、美容皮膚科医、美容医療評論家。東京大学医学部附属病院研修医を経て、東京大学形成外科医局所属。THE ONE.院長。THE SKIN CLINIC神楽坂顧問。著書『すっぴんクオリティを上げる さわらない美容』(KADOKAWA)。
〈取材・文/ガンガーラ田津美〉