イギリス政府は、観戦に関わらず「すでに感染していた人が少なからずいた」と発表。すなわち「観戦で感染した人は、そこまで多くない」と主張している。
「“事前に感染していた可能性があり、それは別で考えなくてはならない”と言っていますが、区別しようがしまいが、感染したことには変わりない。だからこの発表を受けて、“何しても大丈夫”のように受け取るのは絶対いけないことです。ただ、今の日本のスポーツ観戦のようにきちんと対策がとられ、それを観客が守っているのであれば許容範囲だと思います」
サッカーファンで、昨年今年と引き続きJをリーグの観戦に足を運ぶ男性は、スタジアムの様子を次のように話す。
「ユーロなどの欧米のサッカー観戦の日本のJリーグの違いは“マスク・消毒の義務”、“席の前後左右に間隔”、“声援の禁止”、またスタジアムのある都道府県によって制限は異なりますが“人数制限”と“酒販売停止”などになります。スタジアムやチームによって多少変わるかもしれませんが、これらの対策に加え、試合中もスタッフが観客席を確認し続け、“顎・鼻マスク”を発見したら、逐一注意しています。Jリーグは、基本的に開幕した春から五輪による中断期間などを除き、ずっと開催され続けていますが、クラスタ化などは一切起きていないはずです」
現在、開催中のパラリンピックは“学童観戦”があり、有観客となっている。これについて前出の岡田先生は、
「有観客の是非が問われていますよね。会場のシーンを見て、きちんと距離をとって、声も出さずに観戦しているから、“これなら大丈夫”なんてテレビでコメンテーターが言っているのを見ました。それは良いのですが、子どもたちの場合は学校単位で動くと思われ、同じバスで、ある程度の人数が一緒に移動するので、そこで密にならないかが気になります」
コロナ禍に挑んだ“夏フェス”
そんななか音楽好きにとって、“年に1度”の最大のイベントが8月20日から23日にわたって開催された。日本最大の音楽フェスティバル『フジロックフェスティバル』だ。昨年はコロナのため中止になったので、開催は2年ぶり。開催地の新潟県苗場スキー場には、延べ人数3万5000人が集まった。多くのメディアはフジロック開催について《「反知性」》《“密”に踊る若者》《“帰宅後に感染”参加者》などと否定的に報じた。今回のフジロックの参加者の目には“コロナ禍のロックフェス”はどのように写ったのか。
「フジロックに行っている際は、あまりネットニュースを見ていませんでしたが、帰ってからいろいろとチェックしました。かなり客席がギュウギュウになっている写真が上がっていました。でも客席の足元には、両隣の人そして前後の人と間隔を空けることを示したポイントがありました。ポイント1個の上に1人ということが何度も何度もアナウンスされ、厳守させられていました。僕が見た範囲では基本的に最初から最後までみんな守っていたと思います。都内の混んでいる電車より間隔は空いていました。前列に行きたい人が、ライブが始まってから来ることもありましたが、前列のポイントに入ることができず、泣く泣く後ろにまわったり諦めたりするような感じでしたね」(フジロック参加者、以下同)
しかし、ネットには客席が“密”となっている写真がいくつか投稿されている。
「正直、ネットで上がっている“密”な写真は後方から撮ったもので、観客同士の間隔が空いていても、同じ環境にいた人が同じくらいの高さから撮れば遠近感がなくなり、密に見えているだけだと思います……」
歓声はルールとして禁止されていたが、それは守られていたのか。
「かなりみんな我慢していました。僕はライブに行ったのがこのコロナ禍で初めてでした。昨今のライブやフェスは“歓声禁止”とありますが、とはいえ少し声出す人はいるんだろうな……とも思っていたのですが、僕が見た限りいませんでした。もちろんまったくなかったわけではないとは思いますが」