このご時世、どれだけ対策し、ルールを守ろうが、どうしても批判は起き、そしてそれは仕方のないことにも思える。
「若い人に限らずですが、こういったところに来る“イベントが好きな人たち”は、このコロナ禍にあって、どう対策をしようが批判されてしまうことをわかっているので、決められた立ち位置や声援、もちろんマスクなどついて、ただ言われ、決められたルールを守るというよりも、“自分たちでちゃんとやろうよ”という意識が高かったと思います。スタッフの見回りも多いのですが、自分たちで、近くにいる人がちょっと立つ位置が変だったら注意したりとか。どうしても見ている中でマスクがズレて“鼻マスク”になったりしていたら、それを注意したり。そういったお客同士の注意のし合いが結構ありました」
マスクを必ず外す「飲食」の様子は
フェスとなれば、やはりお酒を飲みたくなるものだが、今回はそれも禁止されている。
「泥酔しているような人は、僕は見ていません。売っていないので、勝手に持ち込むしかなかったのですが、鞄チェックもありました。とはいえ抜け道もないことはなく、普通の飲み物のボトルにお酒を入れたり、中で売っている飲み物に混ぜたりとか……。やろうと思えばやることはできると思いますし、飲んでいた人もいたとは思いますが、表立って飲んでいたり、酔っている人を見ることもありませんでした。フジロック参加者が泊まるキャンプ場もお酒の持ち込みがNG。夜中まで宴会していた人などは見かけませんでした」
コロナの多くは、飲食時に感染すると言われる。フジロック参加者はみな会場内で食事をとることになるが、その環境はどうだったのだろう。
「食事を提供する屋台はいっぱいありますが、人数が少なかったためか長い行列ができることもなく、スペースも広いので、みんなゆったり食べていましたよ。隣が近いなんてこともなく、都内のファミレスなどよりも何倍も離れていました。屋根付きテーブルの食事スペースもありますが、間隔を空けて向かい合わずに全員が同じ方向を向いて食べるような感じでしたよ。“黙食”という注意があり、皆さんしゃべってなかったと思います。
できる限りのことはかなり高い水準で運営スタッフさんがやられていました。フェス中はスタッフさんが巡回していて、かなり厳しかったです。マスクをきちんとできていない人は即注意されていました。食事直後はついさっきまでご飯を食べているので、マスクを下ろしていたことを忘れて、そのままゴミ捨て場に行った時に注意されたりとか」
会場でどれだけ対策がとられていても、今現在“フジロック開催”については批判の声が多い。
「さまざまな声があることはわかります。それでも今回錚々(そうそう)たるアーティストが出てくれて、合間のMCで運営側に向けて“開催してくれてありがとう”とか“この期に及んで大儲けしようなんて思っている人はいない。ギリギリ生活かかっている人もたくさんいる”とか話していて……。
今回はいつもなんかと比べものにならないくらいの数のスタッフを動員して、管理体制もすさまじくちゃんとしているのを見ると、こんなのは儲けなんかまったくないと見ていて思いました。どうしたって、どう開催したって批判の声があるのは当然と思います。それでも最善を尽くして、そしてその頑張りは相当だったと思います」
ネット上では打ち上げで居酒屋に行ったという話もあるが……。
「確かにやった人はいたのかもしれません。しかし、会場付近に例年は店先にフジロック客を目当てにしてビールや食べ物を売る店が立ち並ぶのですが、全然やっていませんでした。厳密に言うと初日にやっていた店もあるのですが、運営スタッフから注意が入り、その後は営業していませんでした。近くの駐車場の係員さんに聞いたら、“あそこの店、昨日すごい注意されてたよ”って言っていました。会場外ですら見回っていたんです。かなり注意を払っていたんだと思います。まぁ離れた店などはやっていたとも聞きますが……」