乳製品には飽和脂肪酸が多い
私たちの寿命に大きな影響を与える飽和脂肪酸について、厚生労働省が定めた「日本人の食事摂取基準」では成人男女の摂取目標量を、総摂取エネルギーの7%以下と定めている。ところが、農林水産省の推計では、成人の平均摂取率は8・2%。とりすぎている人が多いのだ。
1日の摂取目標の上限である7%は、その日どんな食材からどれくらいエネルギーを得たかによって変わってくるが、ごく大ざっぱにいうと10g前後とイメージするとわかりやすい。
牛乳コップ1杯(200g)には、4・66gもの飽和脂肪酸が含まれる。牛乳だけでなく、牛乳を濃縮加工したマーガリンやバター、チーズなどの加工品にはより多くの飽和脂肪酸が含まれている。
例えば、朝にヨーグルト1カップを食べて、昼に牛乳をコップ1杯飲み、晩酌でおつまみに6Pチーズ1個を食べれば、それだけで飽和脂肪酸を約9・2gとったことになる。
飽和脂肪酸は肉や卵にも含まれているので、乳製品だけで9・2gとっていたのでは、簡単に上限の7%をオーバーしてしまう。
「実際、3810人を対象にした調査では、乳製品を週に7日以上摂取する人は、それ以下の人と比べて、悪玉コレステロール値が上昇するという結果が出ています。健康にいいからと牛乳や乳製品を毎日とっている場合はとりすぎの可能性があります」
乳製品摂取の頻度が増えると悪玉コレステロールが上昇!
19〜64歳の3810人を調べたところ、乳製品を食べる頻度が増えるにつれて悪玉コレステロール値が上昇していることがわかった
特に40代以上の女性は要注意!
悪玉コレステロール値の男女別の平均を調べた調査では、男性は50歳前後がピークで、60代から数値が減ることがわかった。
これに対し女性は、若いころは男性より悪玉コレステロール値が低いのに、40歳を境に急激に上昇し始める。40歳前後に約110mg/dLだった悪玉コレステロールが、60歳前後には約130mg/dLまで上がり、それ以降、男性よりも高い状態が続く。
そして、悪玉コレステロールの急増に連動するように、女性の心筋梗塞は50代後半~60代で急増し、70歳前後にピークを迎えるのだ。
「悪玉コレステロールの基準値は140mg/dLなので、60歳前後にかけて急上昇するといっても、健康診断では『問題なし』とされるレベルです。しかし実際には、40歳から60歳の間に悪玉コレステロールが急激に増えると、その後、心筋梗塞のリスクがぐっと上がってしまう。女性は男性と比べると若いときはやせているけれど、40歳ごろから急に太りだす傾向にあります。それにつられるように急増していく悪玉コレステロールをいかに抑えるかが、4人に1人の死因である“血管病”を予防するカギとなるのです」