肉や魚のタンパク質は胃、腸で消化(加水分解)され、アミノ酸となって吸収される。タンパク質に塩酸を加えて加水分解すると、アミノ酸以外に多種の物質が発生してしまう。業界は減らす努力をしているが、例えばDMCP、DCPのような発がん性が疑われる遺伝毒性を持つものも生成されてしまうのだ。
だが、このタンパク加水分解物は法令上「添加物」ではなく「食品」である。そのため、タンパク加水分解物を使用した加工食品は、「化学調味料無添加」と表示できる。そんな表示のからくりについて、小薮さんは惣菜の揚げ物を例に挙げる。
「コンビニ弁当やスーパーの惣菜コーナーの天ぷらの衣はきれいな黄色をしている。あれは合成着色料のおかげです。ところが表記は着色料(βカロテン、ウコン)となっているため、消費者は何か身体によい成分かと勘違いしてしまうのです」(小薮さん)
合成着色料を使えば、古くなった油で揚げても天ぷら衣の色はきれいだ。もっと油が古くなって茶色くなったら、今度はカツやコロッケを揚げるのに使えばいい。
「その揚げ物が陳列され酸化すれば、人体にとってきわめて有害なものになります。老化を早め、脱毛や肝障害を引き起こすこともあります」(小薮さん)
安い・長持ちで乱用される中国産添加物
例えば、とあるポテトサラダの食品表示ラベルを見てみよう。「乳化剤」「増粘剤」「発色剤」「カゼインNa」など、家庭の味には使われない名称が並ぶ。おにぎりにも、「加工デンプン」「グリシン」「カラメル色素」「アミノ酸等」と、見慣れぬカタカナ。
「最近のおにぎりは、国産米使用と書いてあることも多いのですが、消費者はコメの国産にこだわりながら、添加物がほぼ安価な中国産であることを知らない」(小薮さん)
それもそのはず、添加物の生産国表示は義務づけられていないからだ。今、ほとんどの添加物は中国をはじめとする外国からの輸入。かつお節や昆布からだしをとるより、中国産の化学調味料グルタミン酸ナトリウムなどの粉を添加したほうが安いのだ。
「安くうまみが出せるから、コンビニ弁当やスーパーの惣菜にどんどん使う。合成保存料、pH調整剤、グリシンなどを添加すると保存性が高くなるので、消費・賞味期限が延長でき、販路拡大につながり、儲けが大きくなる。食品を大量に安く製造し、長い期間売るために、添加物は存在するのです」(小薮さん)
問題になるのは、安い添加物の安全性だ。
「添加物業界で『混ぜ屋』という仕事があります。メーカーのオーダーに応じて、いろんな添加物を混ぜたり、新しい添加物をプロモートしたりする。新しい酸化防止剤入りましたよ、みたいな仕事ですね」(郡司さん)
混ぜ屋の情報によると、数年前から中国産の人工甘味料や、pH調整剤に不可欠なクエン酸ナトリウム等を使っているという。グルタミン酸ナトリウムも30%程度はやはり中国製だ。
「これらの中国産製品は、本来の工程をすっ飛ばしてコストを下げるため、圧倒的に安い。しかし混ぜ屋の間でも、中国産の質の悪さは評判。輸入の際に食品衛生法で摘発されるケースも」(郡司さん)
日本国内でも、過去に粗悪なリン酸塩で死者も出たというので、おそろしい。
「食品添加物の安全性試験は人間ではなくラット(ねずみ)を使っている。寿命2年のラットの試験で人間への影響がわかりますか?医薬品では動物による試験の後、人間の臨床試験を行っています。とても添加物の安全性が確保されているとはいえません」(小薮さん)
厚生労働省のHPでは、「食品添加物の安全性について食品安全委員会による評価を受け」「人の健康を損なうおそれのない場合に限って、成分の規格や、使用の基準を定めたうえで」使用を認めている、と謳っている。その言葉ははたして、信じられるものなのだろうか。