「アルコールというのは、塗料を溶かすものでもあります。以前、どこの病院も噴霧式のアルコール類消毒器を使っていました。
しかし、その付近の床がボロボロになることが多発。そのため噴霧式から、ドロッとした液体に置き換わりました。
このように噴霧式の場合は、家具に影響を与えてしまう可能性があります。また、噴霧式は鼻や口から吸い、肺に届いて炎症を起こしてしまうリスクも」
アルコールが“ばい菌の温床”に!?
以前、医療の現場ではアルコール消毒によるトラブルが起こっていたという。
「20年ほど前はどこの病院も金属の缶に、アルコールに浸した脱脂綿を入れていました。注射用の消毒綿です。個包装ではない形で入っており、1つずつ取り出して使っていました。
ところがそれが消毒薬だから大丈夫という過信で、缶を洗わずアルコールを継ぎ足しで使っていました。それであるとき、実は缶がばい菌だらけだったということが発覚。アルコールは消毒効果がありますが、アルコールに慣れてしまった菌、アルコールに強い菌が生まれ、増殖してしまった。これを“アルコール耐性菌”といいます。
今世界中の人がアルコールばかり使うことで、もうあちこちにこのアルコール耐性菌が出始めているのではないかと思います。コロナ禍が収束した後、アルコールが効かない菌が広まっているということも」
問題点もあるが、外出時などは入り口にアルコールが用意されている。効果的なアルコールでの消毒とは?
「やはり指先を集中して消毒すること。まずモノをつまむ指先から。その後にほかの部分を消毒する。アルコールしかないのであればたっぷり使うべきだと思います。自宅の場合は濃度も注意。手荒れしてしまう人はしっかりと流水と石鹸で洗ってほしいですね」
“日常”となった以上、正しい消毒が求められている。
■「アルコール消毒」の注意点
・「どこを」消毒するかに注意
・アルコールの「濃度」に注意
・「噴霧式」消毒に注意
・「詰め替え」容器に注意
・アルコール「耐性菌」に注意
・手荒れに注意
・消毒した家具に注意
・流水での手洗いに注意