誰もが「ピンピンコロリ」を望むけれど、実際はそうもいかない。身体は徐々に弱っていき、最後は寝たきりになるのだ。老いを思い悩むのではなく、高齢期を明るく生き抜くにはどうしたらよいのか?「人に頼る」「料理をやめる」……評論家・樋口恵子さん(89歳)に12の心づもりを聞いた。
50代~70代は“老いの働き盛り期”
「とうとう平均寿命よりも年をとってしまいました」とにっこり笑うのは、NPO法人『高齢社会をよくする女性の会』理事長も務め、評論家としても活躍中の樋口恵子さん。はつらつとした姿が印象的だが、御年89歳!
「厚生労働省の集計によると、2021年発表の日本人の平均寿命は女性が87・74歳、男性が81・64歳でいずれも過去最高になりました。全人口に対する65歳以上の割合も、日本は28・7%と世界1位。2位のイタリアの23・3%とは大きく水をあけています。高齢化オリンピックがあるとしたら、日本は堂々の金メダルなんです」(樋口さん、以下同)。
日本女性の平均寿命は8年連続で記録更新をし続けていて、今後も伸びる可能性は大。「老いた身体でそんなに長く生きるのか…」と思わずタメ息が出てしまいそうだ。
けれども樋口さんは、「本当に老いを感じるのは80歳から。それまでは不調はあるものの、まだまだ元気です」と。多くの高齢者と接してきたことに加えて、ご自身を振り返っても、50代~70代は“老いの働き盛り期”だと言う。
「もちろん人生の働き盛りは40代、50代です。けれども70代は元気な人がとても多い。私自身、70歳のときに東京都知事選挙に立候補したくらいですから。30年以上ある高齢期の中で50代~70代はまだまだ動ける世代なんですよ」
それゆえ、50歳になって「あと40年近く生きるのか…」とタメ息をつくのではなく、「あと40年あるんだから、何かやってみよう」と前向きに捉えるのが高齢期を楽しく生きるコツに。パートなどの仕事を頑張るのもいいし、習い事やボランティアなど新しいことを始めるのもいい。
「50代60代は後半の人生を設計して実践する最後の時間。何かを始めることに貪欲になって、高齢期をムダにしないで過ごしてほしいです」